近年、BtoB事業のマーケティングにおいてほぼスタンダードともなったマーケティングオートメーション(MA)の活用。日本でも国内外のMAツールの選択肢が出そろい、テレビCMや交通広告で目にする機会も増えました。
そんな日本のMA市場の中でも代名詞的な存在として導入が急増しているのが、セールスフォース・ドットコム社が提供するPardot(パードット)です。
とはいえ、従来のマーケティング関連ツールに比べると、MAは導入や使いこなしのハードルが高いのも事実です。部分的な施策だけでなく、マーケティングの業務フロー全体を設計する必要もあり、従来より高いレベルの実行が求められます。
本記事ではPardotについて基礎知識から特徴、機能までを徹底解説します。また、Pardot活用の最適化の一つとして、フォーム作成サービスformrun(フォームラン)との連携方法を紹介します。
Pardotの導入を検討されている方はもちろん、すでに導入しており、使いこなし方に課題を感じている方までご参考ください。
目次
Pardot(パードット)とは?

Pardot(パードット)は、セールスフォース・ドットコム社が提供するマーケティングオートメーション(MA)ツールです。
もともと米国で誕生し、買収によりセールスフォース社の傘下となりました。以降はSalesforceと統合的に使えるMAツールとして急速にシェアを伸ばしており、競合でもあるMarketo(マルケト)やHubSpot(ハブスポット)と並んでMAの代表的な製品として認知されています。
- MAツールに必要な機能はほぼカバーできている
- Salesforceとのデータ連携はもちろん、インターフェースも統合されている
- Salesforceとセットでの導入支援・コンサルティングが受けられる
- Salesforceとセットで導入しやすい価格帯で、契約期間の一括管理もできる
など、機能、営業・サポートの両面でSalesforceの恩恵が受けられることが特徴です。2017年以降は日本語のUIにも対応しており、海外発のサービスではありますが、導入にほぼ支障がないといえるでしょう。
日本でも大手企業からSaaS事業を展開するスタートアップまで幅広く導入されており、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を担う有力なサービスのひとつになっています。
▼MA(マーケティングオートメーション)について詳しくはこちら
マーケティングオートメーション(MA)の基礎知識とオススメツール7選
Pardot(パードット)の特徴とメリット
顧客獲得活動の中で、Pardotによりどんなメリットが得られるのでしょうか?大きく分けるとこの3つに集約されます。
①見込み客の抽出
Webサイトにアクセスするユーザーのニーズや課題は多岐にわたります。どんな経路でアクセスし、どんな課題を持っているかで閲覧するページは異なりますし、検討度合いが進んでいれば短期間に複数回アクセスする可能性もあります。
PardotではWebサイトへのトラフィックを、スコアリングやグレーディングといった機能で可視化し、コミュニケーションの優先順位をつけることができます。一定の基準を満たせばインサイドセールスから架電の対象にすることもあれば、継続的なメール配信の対象として蓄積することも可能です。
見込み客抽出のシグナルとしては以下のようなものがあります。これらに該当するトラフィックは高い配点でスコアリングされるのが一般的です。
- (商談確度の高い)特定の資料ダウンロードフォームから情報入力があった
- 価格やプラン紹介ページを複数回閲覧していた
- 短期間の間に複数回のアクセスがあった
- メールの開封率やクリック率が高い
これまでは、Webサイトへ個々のアクセスがどんな行動を取っているかわかりませんでしたが、これを可視化することで精度の高い優先度付けを実現しています。
②潜在顧客の発掘
Webサイトにはアクセスしているがまだ商談対象ではない、実はそんなトラフィックが大半を占めます。明確に検討意向があって資料ダウンロードや問い合わせをしているユーザーは全体のほんの一部でしょう。
Pardotには、「課題は感じているけどどうするか決めていない」「緊急ではないので先送りにしている」「課題すら自覚していない」という状態のユーザーを、「今すぐ導入を検討したい」状態に育成、抽出する機能があります。
この段階のユーザーは、サイトには訪問したことはあるが資料ダウンロードや問い合わせをしたことがないため「匿名リード」と呼ばれることもあります。
この状態でもWeb上での行動をトラッキングし、行動に合わせた訴求を表示することでユーザーの興味度合いを上げていきます。
- 記事を最後まで読了した→メール購読フォームを案内
- ページを何度も閲覧している→チャット形式で資料ダウンロードやセミナー案内を訴求
このように、サービスへの関心を高めながら次のアクションへ誘導することで潜在的な顧客を発掘、蓄積することができます。
③ROI(投資収益率)の測定
ROIとは「Return On Investment」、日本語では「投資収益率」という意味です。投資費用に対しての効果を測定する指標で「コストパフォーマンス」を数値化したものといえます。
Pardotでは、WebマーケティングにおけるLPや広告などキャンペーン単位でROIを測定できます。たとえば、次のような場合です。
- セミナーごとに、かかった費用と見込み客獲得から効率を比較したい
- 訴求内容違いのランディングページから資料ダウンロードへの貢献度を比較したい
- 前年同月比で、マーケティングコストと効率性を比較したい
ある目的に応じて、ページを作り広告などで集客しコンバージョンを獲得する、という施策をまとめて「キャンペーン」と呼びます。キャンペーンごとに予算をいくらかけていくつコンバージョンが取れたか、コンバージョン単価はいくらなのか、を集計することでROIの測定できます。
これを繰り返すことで筋の良い訴求や受注貢献の高いキャンペーンは何か、といったことがわかるようになります。
従来はアクセス解析ツールや各種広告の管理画面、お問い合わせなどのコンバージョン数を集計してまとめる必要がありましたが、Pardotではこれらが集計しやすくなっています。各種機能が1つに集約されたMAツールならではのメリットといえるでしょう。
Pardot(パードット)の主な機能
たくさんあるPardotの機能から、主要なものを紹介します。
Webトラッキング機能
インターネット上でのユーザーの行動記録を追跡・記録するWebトラッキング機能です。Pardotの計測タグを設置したサイト内のユーザー行動を把握できます。ドメインが異なる自社サイト、製品サイト、メディアサイト3つを一つに見立ててトラッキングすることも可能です。
この機能にはブラウザのcookie技術が使われており、フォームから個人や組織情報を入力をしたユーザーや、メール内のリンクをクリックしたユーザーであればどの人のアクセスかを特定できます。これら情報とcookieがひも付き、把握しやすくなったユーザーは「アクティブプロスペクト」とも呼ばれます。
この機能により、セミナー参加をフォームから申し込んだ人が、事前にどんな記事コンテンツやページを閲覧したかなどがわかるようになります。後述するスコアリングやナーチャリングのためにも必要となる、MAツールならではの機能です。
スコアリング機能
Webサイト内での行動や、属性情報をもとに点数を加算し評価する機能です。たとえば、
- Webサイトに一度だけ訪問した
- 複数ページを閲覧した
- サイトに複数回訪問した
- 「料金」ページを閲覧した
- 資料ダウンロードフォームに情報を入力した
のように、サービス導入検討に影響を及ぼす行動や属性から加算する点数を設定します。
これにより、スコアの高いユーザーほどサービス検討度が強い、という優先度をつけられるようになります。
このスコアが一定以上になったらインサイドセールスから架電する、セミナー参加誘致のメールを配信する、といったかたちでネクストアクション実行の基準として活用します。
グレーディング機能
スコアリング機能にも似ていますが、ユーザーの属性情報をもとにカテゴライズし、サービス導入と相性の良いユーザーを抽出する機能です。
業種や役職、部署、企業規模などの属性情報をもとに、自社サービスと相性の良い属性を優先して可視化します。
特に、特定の業種や規模の企業に導入されやすい製品・サービスを提供している場合に役立つ機能です。他にも、金額が高く、一定以上の役職でないと検討しづらいサービスにも有効です。
メールシナリオ設定機能
ビジネスシーンでもチャットやSNSでのコミュニケーションが浸透してきましたが、メールはBtoB領域ではまだまだ有効なチャネルです。
配信したメールへの反応をふまえて、次に配信するメールの内容や配信タイミングを設計するのがメールシナリオ機能です。
たとえば、資料ダウンロード時にメールアドレスを入力した人に翌日にお礼メールを配信、その中のリンクをクリックしたらセミナー告知のメール配信、というかたちでシナリオに合致した人を抽出します。ユーザーに価値あるコンテンツやコミュニケーションを届けながら検討度の高いユーザーを育成・抽出します。
このような施策を、コーヒーの抽出に見立てて「ドリップマーケティング」と呼ぶこともあります。
レポーティング機能
ユーザーのWebサイト上の行動をリアルタイムで把握できる機能です。今現在、サイトにどこからどれだけのアクセスがあってどのページを閲覧しているかがひと目でわかります。
その他にも、ROIを確認したり、キャンペーン単位でのレポート表示も可能で、広告やSEO、SNSなど様々な集客施策の効果測定ができます。
もちろん、Web解析のスタンダードであるGoogle Analyticsと併用して設置も可能です。
ナーチャリング機能
ナーチャリングはMAツールの特徴的な機能の一つで「リードナーチャリング」とも呼ばれる施策です。「ナーチャリング」は単一の機能というよりは、スコアリングやメールシナリオを組み合わせたコミュニケーションによりサービスの検討具合を上げていく機能および活動を指します。
ダイナミックコンテンツ
スコアリングデータなどをもとに、Webページやメールの文章を出し分ける機能です。
いわゆる「動的なページ」や「メール差し込み機能」をスコアリングデータで詳細にコントロールするイメージの機能です。これにより、
- ある特定のページを見た人だけに表示するコンテンツ
- 特定の属性の人だけに表示するメール文
- 来訪元の国情報によってメールの言語を切り替える
といったことができます。「マーケティングオートメーション」ならではの機能の1つです。
ランディングページ(LP)やフォーム作成
シンプルなランディングページ(LP)や情報入力のためのフォーム作成ができます。ただし、それぞれに特化したツールに比較すると特に表現力や使いやすさという点で不便を感じるかもしれません。実際に利用している企業でも使い慣れた他のCMSツールと併用するケースは多いようです。
Salesforceとの連携
Pardotの利用者でSalesforceと連携しないで使っている人はいるのでしょうか?
というくらいスタンダードな機能です。同じ会社が提供しているだけあり、連携設定のしやすさ、表示できるデータ種類、UIの統一感、サポートの統一、などいくつかのメリットがあります。
Pardot(パードット)とformrunの連携方法
formrunではPardotと連携することで、手間のかかりがちなフォーム作成・管理運用をシンプルにすることができます。
Pardotとformrunの連携で解決できること
formrunのPROFESSIONALプランではPardotと連携して使用することができます。この連携では次のようなことが実現できます。
- formrunで作成したフォームにPardotのトラッキングコードを設置できる
- Pardot内の「プロスペクトのアクティビティ」からformrunのフォームにアクセスしたユーザーを確認できる
この連携により、使い慣れたformrunでフォーム作成をしてすぐにPardot連携させることができます。一度Pardotに連携したフォームをコピーして作成すれば毎回の設定も不要です。一度作成すれば、Pardotのアカウントをお持ちでない方でも簡単にPardot連携したフォーム運用ができるようになります。
この連携で解決できるフォームに関する課題
- 使いやすいformrunの編集画面でフォーム作成できる(Pardotのフォーム機能は複雑)
- formrunでフォームをコピーするだけでPardot連携済みのフォームを作成できる
- Pardotのアカウント持っていないスタッフでもフォームの運用ができる
なかでも大きいメリットが①です。
Pardotのデフォルトのフォーム作成機能ではリード獲得に向いていなかったり、項目が複雑で、定期的に新しいフォームを用意する運用には向いていません。formrunと一度連携しておけば使いやすい編集画面での新規作成や管理ができます。セミナーや配布資料ごとにフォームを作成する手間をグンと削減できるでしょう。
また、PROFESSIONALプランで利用可能なSalesforce連携を設定しておけば、そのままリード情報として管理でき、スムーズにインサイドセールスに渡すこともできます。
formrunとPardotの連携方法につきましては、こちらのFAQもご覧ください。
formrunは無料ではじめられるフォーム作成サービスです。「Pardotは使っているけどfomrunってどうなのかな?」という方は、ぜひ無料で試してみてください。
まとめ
BtoB事業のマーケティングにおいてもはや外せない選択肢となったマーケティングオートメーション(MA)とその代名詞的な存在であるPardot(パードット)について、そのメリットから機能を紹介しました。
ただし、万能であるからこそ、複雑になりがちな面があることも事実です。顧客接点となるフォームやランディングページは細かい修正やPDCAが必要になるからこそ、運用しやすいツールを用意しておくことも重要です。
フォーム作成・管理・顧客対応に最適化されたformrunとPardotを連携することでツールごとのメリットを最大化しながらマーケティングの目的達成が可能です。ぜひ一段上のPardot活用に役立ててください。