顧客管理を行う場合、メール対応を複数人で行うケースも多いと思います。しかし、手作業でメール共有を行うだけでは、手間がかかる上に連絡ミスや対応漏れを引き起こし、取引の機会を潰してしまう可能性があります。
そこで今回は、人力ではミスが起こりやすいメール対応を一元管理できるメール共有システムのメリットや、導入する際に気を付けたいポイントなどを解説します。
メール共有におすすめのシステムも紹介しますので、メール共有システムを導入しようと思っている方や、メール対応に課題を持っている方はぜひ参考にしてください。
目次
メール共有のメリットとは
顧客管理の担当者がチーム内でメール共有をするメリットは、主に以下の3点が挙げられます。
- 重複対応や対応漏れを防ぐことができる
- 顧客対応の状況把握や業務の引き継ぎが容易になる
- 顧客満足度の向上が望める
チームでメールを共有する場合、重複対応や対応漏れを防ぐことが重要です。メール共有システムでは、誰がどのように対応したのか、未対応・対応済みなのかをすぐに把握できます。
顧客対応の状況をひと目で確認でき、対応の引き続ぎやその他業務の引き継ぎなどの指示を出しやすくなります。
また、やり取りの内容や適切な対応ができているかも確認できるため、チームメンバー全体の動向を把握することができます。
さらに単純な対応スピードが向上しますし、ユーザーごとの購買行動を紐づけ、お礼の一文を付け加えるといった対応も可能であるため、顧客満足度の向上も期待できます。
メール共有の方法
メール共有をする場合、2つの方法があります。ここでは、メールの共有方法について詳しく解説していきます。
メールツールでメールを転送
システムを導入することなく手軽にメール共有をしたいなら、GoogleやOutlookなどのメールツールを使ってメールを転送する方法があります。
メールツールには、メールが届いたときに自動で転送する機能が備わっています。この自動転送機能の設定を行うと、指定した宛先に自動でメールを転送してくれます。ツールに元々備わっている機能であるため、比較的手軽に始められることがメリットです。
しかし転送機能を使ってメール共有ができるものの、設定や操作に手間がかかったり、誰が対応するかなどのやり取りの状況が不透明になることもあり、管理が行き届かなくなる可能性があります。
メール共有システム
メール対応における様々な業務の効率化をしたいなら、メール共有システムを導入する方法もおすすめです。
メール共有システムで有名なものには、メールワイズやメールディーラーがあります。ステータス管理機能や対応漏れ防止の機能があり、どのメールに手をつければいいのか誰でも把握できるため、業務をスムーズに進められます。
メール共有システムを使えば、業務の効率化につながるだけでなく、顧客対応における満足度の向上も期待できます。
有料・無料のシステムがありますが、無料のメールソフトではセキュリティの脆弱性や迷惑メールの対策、顧客管理を行うための機能が少ない可能性があるため注意が必要です。
ここからは、メール共有システムについて詳しく解説していきます。
メール共有システムとは
メール共有システムとは、メールを複数人で共有できるシステムのことです。顧客からのメールを複数人で管理し、対応状況をひと目で確認できます。
カスタマーサポートといった顧客対応に特化した場面だけでなく、営業管理や発注・受注管理など、さまざまな場面で利用されています。
メール対応や管理を効率化するための機能が備わっているため、重複対応や対応漏れの防止、対応状況の一元管理が可能です。
メール共有システムによって備わっている機能が異なるため、自社に合ったシステムを検討し導入する必要があります。
メール共有システムの機能
メール共有システムの主な機能は以下です。
- アラート機能
- 進捗状況の管理
- 権限設定
- 対応履歴の共有
- メール送信補助機能
それぞれ詳しく紹介していきます。
アラート機能
アラート機能とは、新着メールや自分宛てのメール、未対応のメールなどを通知してくれる機能です。
メール共有サービスを導入すると、送信元の情報やメールの内容、ステータスなどのさまざまな情報が、データベースに蓄積されます。問い合わせ情報がデータベース化されると、対応していない問い合わせをアラート機能が知らせるため、対応漏れの防止が可能です。
進捗状況の管理
メール共有システムには、1つのメールごとに進捗状況を管理できる機能もあります。
未対応・対応中・対応済みなど、問い合わせメールに関するステータスをチーム内で共有できるため、対応状況の把握も安易となり、業務の効率化が可能です。
問い合わせ担当者だけではなく管理者も状況の把握が可能なため、対応が遅延していると思われるメンバーに対してのフォローにつながります。顧客からのクレームがなどがあった場合もすぐに進捗状況が分かるため迅速に対応でき、トラブルの拡大を防げます。
権限設定
権限設定とは、担当別や部署別などメールの閲覧や返信の権限を個別に設定する機能です。役職や立場によって、対応すべき問い合わせのみを割り振ることが可能です。
さらに担当別・部署別だけではなく、ドメインやメールアドレスごとの権限設定も可能なため、情報漏えいの防止にもつながります。
対応履歴の共有
対応履歴の共有機能とは、顧客とのこれまでの対応内容や対応状況を確認できる機能です。システムを使わずにメール共有を行う場合、顧客とのやりとりを確認するためには、過去のメールをさかのぼる必要があります。
また、メールを複数人の担当者が閲覧できるため、二重で対応してしまう可能性もあります。
対応履歴の共有機能を使えば、簡単な操作で過去のやりとりや対応状況をひと目で確認することができます。
メール送信補助機能
メール共有システムには、以下のようにメール送信を補助するためのさまざまな機能が備わっています。
- メール本文のテンプレート作成
- メール送信時の承認
- 誤送信防止
- 排他ロック(1つのメールを複数人で編集できなくする機能)
メール本文をテンプレート化する機能が備わっているため、あらかじめ作成した任意の文面で、問い合わせに対して一定の品質を保った対応が可能です。
また、上司からの承認が無ければ送信ができないといった承認機能も備えられ、重要なメールの誤送信防止にもなります。
1つのメールを複数人で編集できなくする機能を有効にすれば、二重対応の防止も可能です。
メール共有システムのメリット
メール共有システムを利用するメリットは、主に以下の4点です。
- ステータス管理ができる
- 対応を素早く行える
- 属人化を防止できる
- リモートワーク等の推進につながる
それぞれを詳しく解説していきます。
ステータス管理ができる
メールに対して、未対応・対応中・保留中・対応済みなどのステータスが表示されるようになるため、各メールのステータスを把握しやすくなります。
ステータスを把握することにより、対応遅れや対応漏れ、重複対応を防ぐことができます。誰がどのメールに対応しているかも把握できるため、担当者の特定も容易になります。
現状のメール対応業務において、誰がどこまで対応しているかわからないといった状況が発生しているなら、メール共有システムの導入がおすすめです。
対応を素早く行える
メール共有システムにより、メール対応の迅速化が期待できます。例えば、アラート機能で新着のメールを把握し、あらかじめ用意したテンプレート文を返信することで、返信にかかる時間を削減できるのです。
メール共有システムを利用していない場合は、お問い合わせに対しての優先度や返信内容をその都度考える必要があるため、顧客を待たせしてしまう可能性があります。メール共有システムからステータスを確認すれば、優先度を判断する時間も短縮できます。
メール対応を素早く行うことで、顧客満足度の向上も期待できます。
属人化を防止できる
メール対応の属人化を防止できる点もメリットです。メールのステータスや対応履歴などがメンバー全員に共有できるため、担当者が不在の場合でも対応が可能になります。
メール共有システムを使わない場合、担当者しか対応内容を把握していないため、他のメンバーでは返信ができなくなりがちです。そのため、担当者不在の場合などに対応に遅れが生じてしまいます。
メール共有システムなら、複数人がそれぞれのPCからメール内容や状況を確認できます。システムによっては、各メールに任意のコメントを残せる機能もあるため、担当者しか把握していない情報を共有することも可能です。
リモートワークなどの推進につながる
メール共有システムを使えば、遠距離からのメール共有が可能になるため、リモートワークの推進にもつながります。
システム内でコメントをつける機能などを活用すれば効率的に情報交換ができるため、在宅での勤務でも差し支えなく業務ができます。
また、メンバーのログイン時間を記録できる機能や、社内Q&Aを設置できる機能があるシステムを導入することで、自宅にいながらメンバーの管理や不明点の解決が可能になります。リモートワーク推奨の企業では、ぜひ取り入れたいシステムです。
メール共有システムを比較する基準
メール共有システムを導入しようと思っても様々なシステムがあるので、選ぶのは難しいかもしれません。ここでは、メール共有システムを比較する基準について詳しく解説します。
自社の課題と必要な機能
メール共有システムは、システムごとに備わっている機能が異なります。そのため、自社の課題を明確にしたうえで、必要な機能とその使い勝手を確認しなければなりません。
例えば、お問い合わせがメールだけではなく、他のチャネルに対応している場合には、それらのチャネルに対応したシステムを導入するなどの工夫が必要です。
主なお問い合わせ手段がメールである場合も、自社の管理体制を見直す必要があります。日々のメールの量が多すぎて対応しきれていない、メール対応が属人化しているなどの課題があるなら、チーム運用に特化したシステムを選びましょう。
システムの操作性
メール共有システムを選ぶ際は、システムの操作性も確認しましょう。システムを導入しても、操作が難しく社員が使いづらいと感じてしまっては、業務効率の低下を招きます。
操作性を見極めるためには、有料プランを契約する前に無料トライアルを利用して、実際に操作してみることをおすすめします。
必ずしも機能が豊富でコストの高いシステムが良いというわけではないため、システムを比較する際は、誰が使っても使いやすいものかどうかチェックすることが重要です。
他のシステムとの連携
メール共有システムを導入する場合、自社で使用しているCRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)などと連携できるかどうかも大切なポイントです。
他システムとの連携ができないと、メール共有システムで得た情報を手動で他ツールに入力する必要があり、手間がかかってしまいます。
例えば、SFAを既に使用していた場合、SFAには既存の顧客データが多く含まれています。SFAのデータ量が多いほど、新しく導入したメール共有システムに移行するデータの量も多くなるため、移行するための人件費や時間が必要になるのです。
また、既存システムとの連携ができないと、それぞれのデータを別に扱う必要があります。そのため、既存のシステムとの相性や親和性の高さは、業務を効率的に行うためにも必要な基準だと言えるのです。
システムのタイプや料金
メール共有システムには、オンプレミス型とクラウド型の2つのタイプがあります。
オンプレミス型は自社内にサーバーを設置し、構築・運用していくタイプのシステムです。サーバーを設置するため初期費用は高額となりやすいものの、月額の費用は比較的安価な傾向にあります。しかし、月額のシステム利用料以外にもサーバー代や保守管理の費用が発生するため、予算に余裕がある場合や大企業などに向いているかもしれません。
対して、クラウド型は自社にサーバーを設置せず、インターネット経由でシステムを利用できるタイプのシステムです。初期費用が安いものの、月額料金などの負担が大きくなりやすい傾向があります。オンプレミス型よりも手軽に導入できるため、すぐに運用開始したい場合、初期費用を抑えたい場合におすすめです。
このように、システムのタイプによって費用の特徴が異なるため、将来的なコストをしっかりと検討したうえでシステムを導入していく必要があります。
おすすめのメール共有システム7選
ここでは、以下の厳選した7つのメール共有システムについて詳しくみていきます。いずれも、メール共有システムとして知名度のあるものです。
- メールディーラー
- メールワイズ
- WEBCAS mailcenter
- yaritori
- Re:lation
- mi-Mail
- OKWAVE IBiSE
それぞれのメール共有システムの特徴や価格などを把握し、自社の課題に合ったシステムを導入することが大切です。
1.メールディーラー

「メールディーラー」は、クラウド型のメール共有システムです。すでに6,000社に導入されているだけでなく、メール対応状況のチェック、承認フローの組み込み、二重返信防止などの機能が特徴です。LINEやChatwork、楽楽販売などの外部システムとの連携も可能である点も魅力の1つです。
料金は初期費用50,000円~、月額費用は20,000円からと設定されています。オプションの内容によっても月額が変動するため、自社にあったプランを検討しながら選択していきましょう。
無料トライアルも用意されており、申し込み後3日以内に使用できるため、どのようなシステムなのかを試してから有料プランに切り替えることができます。
2.メールワイズ

「メールワイズ」は、サイボウズが提供するチームにおけるメール共有に特化しているシステムです。チームでのメール共有にありがちな二重送信やご送信防止などの機能がある点がメリットだといえます。また、外出先からシステムにアクセスすることも可能です。
スタンダードコースとプレミアムコースに分かれており、初期費用は無料で1ユーザーであれば500円から使用することが可能です。
クラウド型とオンプレミス型に分かれているため、自社にあわせて機能をカスタマイズすることができます。30日間の無料トライアル期間も利用できるため、自社の課題に合わせて本格的な導入を検討できる点も魅力です。
3.WEBCAS mailcenter(ウェブキャス メールセンター)

「WEBCAS mailcenter」は、国内で20年にわたってほど販売され続けているメール共有システムです。7,000社以上の企業に採用され、メール配信やアンケート、SMS配信などの機能も活用できます。メール共有システムではあるものの、個人情報へのアクセス制限を設定できる点はメリットだといえます。
外部連携機能にも優れており、WEBCASが提供するアンケートシステムや顧客管理システムとの連携も可能です。
料金は公式サイトから資料をダウンロードすることで確認できます(初期費用100,000円、月額25,000円)。加えて、1ヶ月からの契約にも対応しているだけでなく、クラウド型のシステムであるため導入の手間もかかりません。
4.yaritori(ヤリトリ)

yaritoriは、シンプルで使いやすいメール共有システムです。メールごとのステータス管理や自動分類、チームごとの署名ができる機能などがあります。チームにおけるメールコミュニケーションや顧客対応などの効率化が期待できます。
yaritoriで受信したメールは、メッセージツールのSlackに連携することも可能です。また、顧客管理もyaritori1つで行うことができるため、これまで以上に密なメール対応が可能となります。
14日間の無料トライアル期間があるだけでなく、1ユーザーであれば月額980円から使用できます。
5.Re:lation(リレーション)

Re:lationは、メール共有の他にTwitterやLINEなどの問い合わせも含めて一元管理できる、クラウド型のメール共有システムです。ステータス付与によって対応漏れを防ぐことも可能です。また、ラベルによるメール分けも可能であるため、大切な顧客からの連絡を見逃すこともありません。
メールテンプレートの作成機能や、定型文を登録する機能があるため、メール返信の迅速化が期待できます。
料金は利用人数や受信箱の数などによって変動し、初期費用として15,000円が必要です。20日の無料トライアルだけではなく、月額無料で使用できるフリープランも用意されています。
6.mi-Mail(エムアイ・メール)

「mi-Mail」は、シンプルな操作性とカスタマイズ性が評価されているメール共有システムです。
操作画面は、一般的なメーラー画面をベースに設計されているため、メール共有システムが初めての場合でも馴染みやすいかもしれません。使用できるのはデフォルト画面だけではなく、1人ひとりが自分好みの画面にカスタマイズすることも可能です。
機能としては、期限切れのメール群をまとめる機能や、電話での問い合わせを一元管理できる機能などがあります。
料金はスタンダードプランの場合、初期費用に24,800円が必要で月額料金は9,800円からとなっています。大規模なシステムにも対応できるものの、追加料金と導入コストが変動するため、問い合わせの際にはよく確認しましょう。
7.OKWAVE IBiSE(オウケイウェイヴ・アイヴィス)

「OKWAVE IBiSE」は、オウケイウェイブが提供するメール共有システムです。カスタマーサービスよりの機能として、フォーム作成やよくある質問ページなどを設置する機能があります。
ステータス管理やテンプレート機能、自動担当切り替えなどカスタマーサービス面を強化したい場合にも適しているメール共有システムだといえます。
プランは「Essential」「Standard」「Professional」の3つに分かれており、「Standard」プランのみ、14日間の無料トライアルの利用が可能です。
メール共有システムで顧客対応の品質を向上させよう
メール共有システムの導入によって、ステータス管理などの機能でメールでありがちな二重送信や誤送信を避けることが可能です。ミスの予防、顧客対応の品質向上になどにつながります。
メールだけでなく、電話や LINE などの問い合わせ機能もついたメール共有システムもあるため、自社の業務に合わせたシステムを導入できれば効率的な業務が行えるでしょう。
メールだけでなく、情報共有ツールも便利ですので、以下の記事から詳しくご確認ください。顧客対応の効率化は、以下の記事を参考にしてください。
また、問い合わせ管理を行うツールは以下でまとめているので、メール以外からの問い合わせも効率化したいという方はぜひご覧ください。
【厳選】問い合わせ管理ツール9選|選定方法や比較表も合わせて紹介