【テンプレートあり】Excelの顧客管理のデータベースを作る3つの手順

カスタマーサクセス

エクセルを使って顧客情報をデータベース化すれば、顧客管理にかかる費用を大幅に削減できます。ただ、何から手をつけたらいいかわからない場合は、すでに公開されている無料のエクセルテンプレートを活用することも可能です。

この記事では、エクセルを使ったデータベースの作り方を紹介するとともに、使い勝手の良い無料のエクセルテンプレートを厳選して紹介します。

Excel(エクセル)で顧客管理のデータベースを作る3つの手順

そもそもデータベースとは、蓄積されたデータの集合体のことです。必要なときに必要な情報を抽出したり、売上や利益に関する数値を分析するときに役立ちます。だからこそ、抽出や分析に便利な表にしなくてはなりません。

ここでは、エクセルを使って顧客管理のデータベースを作るまでの、具体的な手順を解説します。

1. 項目を定めてデータを収集する

必要なデータ項目は、管理したい顧客情報によって異なります。データベースを作成する前に、自社に合わせた項目を洗い出しておきましょう。主な項目は以下の通りです。

BtoB企業名、取引先担当者、案件名、提案内容、見積金額、営業担当者、次回アクション予定、クレームなど
BtoC会員番号、性別、生年月日、嗜好、家族構成、DM送付の可否、購入履歴(購入商品、値段、回数)など

必要な項目が定まったら、エクセルで横方向に項目を入力し、顧客ごとのデータを縦方向に羅列していきましょう。項目を縦方向に入力したり、行間を空けてしまうとフィルターやソート機能が使えないので注意してください。

2. データを表形式に配置

データを表形式に配置

出典:エクセルデータベース | 住友電工情報システム株式会社

次に、入力したデータを表形式に配置していきます。データベース運用を目的としてデータを配置する際には、いくつか注意点があります。

①タイトルと項目の間は1行あける
行が詰まっていると、表全体がデータベースとして認識されないため、1行あけてください。
②項目ごとに表示形式を設定
任意のセルにカーソルを合わせ「右クリック」→「表示形式」で通貨(¥日本語)や日付(YYYY年M月)など設定しましょう。
③ウィンドウ枠の固定
縦方向にスクロールすると項目が見切れてわかりにくくなります。ウィンドウ枠を固定すれば、スクロールしても項目が隠れません。
枠を固定するためには、項目が入力されている一つ下の行全体にカーソルを合わせ、アクティブにします。メニューの「表示」から「ウィンドウ枠の固定」を選択してください。同じ操作で「ウィンドウ枠固定の解除」も可能です。

表からドロップダウンリスト(プルダウン)を作成する方法

自社の営業担当者名など、選択肢がある程度定まっている項目はドロップダウンリスト(プルダウン)を作成しておくと入力の手間が省けます。

ドロップダウンリスト(プルダウン)の作成

選択肢が多い場合は、表を作成してからドロップダウンリストを作成してみてください。シート内、または別シートに表示させたい項目のリストを作成します。ドロップダウンリストを作成したいセルをアクティブにして、メニューの「データ」→「データの入力規則」を選択します。

許可から「リスト」を選択、作成した表の一覧をアクティブにして、ソースに範囲を入力してください。「OK」をクリックすると、任意の項目にドロップダウンリストが作成されます。

直接入力でドロップダウンリストを作成する方法

直接入力でドロップダウンリストを作成

選択肢が少ない場合は、選択肢をソースに直接入力することも可能です。

まず、ドロップダウンリストを配置する縦のセルを選択して、アクティブにしてください。メニューバーにある「データ」→右端の「データの入力規則」をクリックするとウィンドウが開きます。

上部のドロップダウンから「リスト」を選択し、「ソース」に選択肢をコンマで区切って入力、「OK」を選択して完了です。

3.テーブル機能を使ってデータベース化

顧客情報を表形式にまとめたら、つぎに「テーブル」を作成します。

テーブルとは、表全体をデータのまとまりとして編集・管理できる機能です。作成した表をテーブルとして定義すれば、自動的に範囲を拡張させたり、関数の修正が簡単にできるようになります。

テーブルの作成

まず、項目を含む表全体を選択し、セルをアクティブにします。つぎに、メニューにある「挿入」→「テーブル」を選択。「先頭行をテーブルの見出しとして使用する」にチェックを入れて、「OK」をクリックしてください。

フィルターが適用

テーブル化すると背景色や文字色が変わり、項目にフィルターが設定されます。

テーブルデザイン

デザインを変えたいときは、メニューにある「テーブルデザイン」から色やパターンの変更ができます。

Excel(エクセル)顧客管理表を活用するための機能

テーブル化した顧客管理表を使いこなすための、便利な機能を紹介します。

表全体の並べ替えをしたいときは「フィルター機能」

フィルター機能

フィルター機能とは、指定する条件に合致したデータのみを表示したり、並べ替えたりできる機能です。複数条件で並べ替えを反映させたいときは、「ユーザー設定の並べ替え」ができます。

ドロップダウンリストから「ユーザー設定の並べ替え」を選択すると、ウィンドウが表示されます。「+追加」で並べ替えの条件を設定してください。「OK」をクリックすると、表全体に並べ替えが反映されます。

条件抽出ができる「スライサー機能」

スライサー機能

出典:エクセルデータベース | 住友電工情報システム株式会社

顧客データをワンタッチでフィルタリングするなら、「スライサー機能」が便利です。

「テーブル」→「デザイン」→「スライサー」を選択して、ダイアログを開いてください。条件抽出したい項目を選択して「OK」をクリックすると、表の右側に該当データが抽出されます。表示されたボタンを押すだけで、データの絞り込みが可能です。

「フォーム機能」を有効にして編集・入力作業を効率化

フォーム機能とは、テーブル1行分のデータを効率的に入力できる機能です。セルに直接データを入力するのではなく、ポップアップのような入力用ウインドウにデータを入力していくため、入力ミスの防止にもつながります。

しかし最新バージョンのエクセルには、「フォーム」機能が表示されていません。クイックアクセスツールバーに表示させるために「ファイル」→「オプション」→「リボンのユーザー設定」を選択してください。

リボンのユーザー設定

出典:フォーム機能を利用して入力する

ユーザー設定画面で挿入したい位置のタブを選択して「新しいタブ」をクリック、新たに「新しいタブ(ユーザー設定)」と「新しいグループ(ユーザー設定)」が作成されるので、「名前の変更」から任意の名前に変更します。

新しいグループ(ユーザー設定)

次に、コマンドの選択で「すべてのコマンド」を選択、表示されたリストの中から「フォーム」を追加してください。新しいグループにフォームが追加されると、クイックアクセスツールバーに「フォーム」が表示されます。

クイックツールバーにフォームが表示される

「フォーム」を選択すると、入力用フォームのウィンドウが表示されます。任意のデータを入力して「新規」をクリックすると、テーブルにデータが反映されます。

重複チェックでヒューマンエラー防止

手動で顧客情報を入力する場合、「同じ顧客のデータを複数入力してしまった」という入力ミスはつきものです。このようなヒューマンエラーを防ぐためには、重複チェック機能が役に立ちます。

重複チェック機能

出典:エクセルの重複チェックのやり方!データの抽出・削除の方法を解説 | Udemyメディア

重複チェックしたいセルをアクティブにして「スタイル」→「条件付き書式」→「重複する値」を選択します。

重複する値

「重複する値」のウィンドウが表示されるので、値は「重複」、書式は任意の色や文字を選択してください。「OK」をクリックすると、重複データが確認されたセルに色が付きます。

データの入力ミスは顧客管理に影響を与える恐れもあるため、定期的に重複チェックを行うと良いでしょう。

検索機能でデータの場所を一発で発見

Excel(エクセル)には検索機能が標準搭載されています。Excel(エクセル)のデータ内や選択した範囲内のセルから、探し出したい文字や数字などを検索する機能です。

Excel(エクセル)のホームタブ内の、「編集」のところにある「検索と選択」を使用します。ショートカットキーは「Ctrl」+「F」で「検索」または「文字の置き換え」が可能です。
Excel(エクセル)の検索機能を活用すれば情報を素早く探せるので、データベースが増加しても問題ありません。Excel(エクセル)で顧客管理を行う場合は、検索機能を積極的に活用し効率的に情報管理をしましょう。

Excel(エクセル)を使った顧客管理の注意点

Excel(エクセル)を使った顧客管理は簡単に始められます。では実際に顧客管理のデータベースを作る際に、どのようなポイントに注意すべきなのか以下より解説します。

①入力ルールの徹底

Excel(エクセル)のデータベースに入力するためのルール決めを明確にしておきましょう。
入力ルールを徹底して守らなければ、表記ゆれが起こり、データベースとしての評価が低くなります。

入力ルールは、運用しながら決めるのではなく、運用前にあらかじめ決めてください。顧客管理するExcelデータの別タブに入力ルールを明記しておくと、担当者引継ぎ時や判断に迷った時に役立ちます。

②データ保管場所を固定する

Excel(エクセル)のデータを保管する場所は固定しておきましょう。
Excelのデータは簡単にコピーできてしまい、最新の情報がどのデータなのかわからなくなる弱点があります。

保管場所を固定しておき、最新のものを保管するよう徹底してください。

③データ編集者を固定する

Excel(エクセル)で顧客管理データベースを運用する際には、データ編集者を固定しましょう。

Excelデータは簡単に書き換えできてしまう一方、誤って書き換えてしまった場合、気が付きにくい特性があります。誤操作による書き換えが発覚するのは、トラブルが発生した後が大半です。いつ誰が操作ミスしたのか判別しにくく、トラブル対応も発生するので注意が必要です。

責任の所在を明確にし、データベースの情報を適切に管理するためには、編集者の固定をおすすめします。

④極力シンプルに作る

Excel(エクセル)で顧客管理のデータベースを作る際には、極力シンプルにすることを念頭に置きましょう。

Excel(エクセル)での顧客管理は、「データベースであること」を忘れてはいけません。データベースの目的は、情報の蓄積です。複雑な数式などが組まれていると、データが壊れたり担当者が変更になった際に修正が難しくなります。

マーケティングや営業活動のための分析に活用したい場合は、データベースを基にツールを作成しましょう。

顧客管理をExcel(エクセル)で行うメリット

顧客情報の管理に使えるツールは、エクセルのほかに以下のようなものがあります。

  • 名刺管理ソフト
  • 顧客管理システム(CRM)
  • 営業支援システム(SFA)
  • 問い合わせ管理ツール

さまざまなツールがあるため、エクセルで顧客管理をすべきか悩んでいる方も多いかもしれません。そこでここでは、エクセルを使った顧客管理がどのような企業や状況に適しているのかを解説します。

初期投資を抑えられる

初期費用を抑えたい時には、エクセルでの顧客管理がおすすめです。すでにMicrosoft 365を導入している企業なら、エクセルを使って顧客管理を行うことで初期投資を抑えられます。社員がエクセルの扱いに慣れていれば、作成したデータベースを運用・管理する際の教育コストも抑えられます。

一般的な顧客管理システム(CRM)やSFAなどを導入する場合、1ユーザーあたり月額1,000円~7,000円ほどの費用が必要です。

5年・10年の期間で運用することを考えて、コストと生産性のバランスが取れない可能性があるなら、エクセルでの顧客管理をおすすめします。

少人数で顧客管理に取り組みやすい

少人数で顧客管理を行う、または取り扱う顧客情報が少ないなら、エクセルでも十分対応できます。
名刺管理ソフトや顧客管理システムなどのツールは、多人数で運用するときに便利です。入力・更新作業を行うのが少人数なら、大規模なシステムを導入するメリットは少ないかもしれません。

こういったツールでは権限の機能などがあって便利ですが、エクセルにも作業者のメンバーに権限を付与する機能も備わっているため、役割や企業の管理体制に応じたオペレーションが可能です。

カスタマイズしやすい

全社に導入している顧客管理システムが、営業や企画部門で使いやすいとは限りません。現在導入しているツールを使いこなせていないなら、エクセルでの顧客管理を検討してみてはいかがでしょうか。

エクセルはある程度自由にカスタマイズできるため、チームや部門の業務に合った顧客管理表を作成できます。

顧客管理の目的である「顧客との良好な関係性維持」や「商品・サービスの購入」などを達成するためにも、効率の良い管理方法を選びましょう。

顧客管理に使えるExcel(エクセル)の無料テンプレート3選

自社でエクセルデータベースを作成するのが難しいなら、公開されているテンプレートを使うのも一つの手段です。

公開されているテンプレートをたたき台にすれば、マクロなどの特別な知識がなくても、顧客管理のデータベースを作成できます。フォーマットに沿って必要事項を入力していくだけなので、データベース作成にかかる時間も短縮できます。また、業務内容に合わせたカスタマイズも簡単です。

サイトの更新頻度、使いやすさを基準に3つのテンプレートサイトを紹介します。

bizocean(ビズオーシャン)「顧客管理カード」

bizoceanは、国内最大級のテンプレートサイトです。無料会員登録をすれば、書式数4万点以上の中から、必要なテンプレートがダウンロードできます。

顧客管理におすすめのテンプレートは以下の通りです。

おすすめのテンプレート特徴
顧客管理01シンプルでフォームの入力が簡単
顧客管理カード02商談記録も管理できる
Excelで作るA41枚の顧客個別管理シート顧客対応履歴に特化している
顧客情報管理表(小売業用)サービス、小売業向けの項目が充実

bizocean

SystemWatanabe「Excel Form 顧客管理」

SystemWatanabeは、個人が運営している更新頻度の高いテンプレートサイトです。会員登録は不要です。

おすすめテンプレートの「Excel Form 顧客管理 Ver.1.16」は、ユーザーフォームを利用して入力できるため、直感的に操作できます。はがきや封筒の宛名印刷、CSV出力も可能です。

無料版と有料版があり、無料版はマクロ非公開、およびシート保護解除に設定されています。

SystemWatanabe「Excel Form 顧客管理」

[文書]テンプレートの無料ダウンロード「顧客管理表」

会員登録不要のテンプレートサイトです。

シンプルなデザインなので、項目の追加・削除などカスタマイズを前提にテンプレートを探している方におすすめです。ただし、運用するにはある程度エクセルの知識が必要なため注意しましょう。

[文書]テンプレートの無料ダウンロード「顧客管理表」

Excel(エクセル)を使った顧客管理のデメリット

エクセルは汎用性が高く、低コストで使用できるものの、デメリットもいくつか存在します。顧客情報のデータベースを作成する前に、自社に合った運用が可能かどうか、チェックしてみてください。

データをチームで共有・編集するのには向かない

エクセルはもともと、個人利用を前提に作られたアプリケーションです。そのため顧客データをチームで共有したり、営業やマーケティング施策に活かすには、エクセルだと不十分な場合もあります。

エクセルの「共有ブック」機能をオンにすれば、複数のユーザーが同時にデータを書き換えることも可能です。しかし、変更履歴を記録するには設定が必要な上に、確認するにはわざわざ修正済みのセルに、マウスポインタ―を合わせなければなりません。

ほかにも、Excel Online(エクセルオンライン)を使えば同様のブックを編集・共有できますが、インストール版のエクセルに比べて機能は制限されています。

チームで顧客管理を行うなら、複数名での運用を前提に作られた「顧客管理システム」や「問い合わせ管理ツール」のほうが向いている可能性もあります。

管理とセキュリティ対策が煩雑

エクセルで顧客管理を行う場合、決められたルールで定型的な情報を入力しなければなりません。そのため、細かな情報が管理しきれないケースも多くなります。

エクセルは自由度が高いため、作成したブック・セルは簡単にコピーできてしまいます。運用しているうちに複数箇所にデータが散在すれば、情報漏えいのリスクも高まるでしょう。

また、操作方法の統一やデータ取り扱いルールの共有、セキュリティ対策の教育にも手間が掛かります。

マーケティング領域にまで活かすのは難しい

エクセルにあるデータをそのまま集計や分析に活用するには、複雑な工程が必要です。また、データを加工するほど動作が重くなるため、マーケティング領域にまで十分データを活かしきれないケースが出てきます。

エクセルで作成した顧客管理表が、情報を蓄積するのみで完結してしまっているケースは多いものです。顧客管理の目的は「いかにして顧客体験を向上させられるのか」に尽きるため、データをマーケティングに活かせなければあまり意味がありません。

VBAやマクロが使えるのであれば、エクセルでも顧客情報と対応履歴を連携させることも可能ですが、プログラムに関する深い知識が求められます。

顧客満足度の向上はもちろん、業務改善や売上アップを目指しているなら、ツールの導入が近道です。

効率的な顧客管理を実現するなら「formrun(フォームラン)」

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顧客管理の大規模運用を検討しているなら、問い合わせフォームと連携させて売上が伸ばせる「formrun」がおすすめです。チームで運用する機能が充実しているため、属人化のリスクを回避できます。

ボード画面

管理画面で顧客ごとのステータスを管理したり、直接メールの送受信ができるので、顧客管理表とメーラーを行き来する必要はありません。対応履歴がすべて可視化されるので、チームで共通認識をもって業務に取り組めます。

formrunは国際標準規格の「ISO 27001(ISMS)」を取得しており、データベースは毎日自動的にバックアップされます。SSL/TLSも採用しているので、すべての通信が暗号化されるだけではなく、スパム・ボット対策も万全です。

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