営業管理をするときには、エクセルを使うことも多いかと思います。
営業には属人化やリソース不足などの課題が発生する場合があるので、エクセルで営業管理をするときには注意が必要です。
エクセルを使ってどのような指標を、どう管理するのか事前にチェックしたり、すでに管理すべき指標が定まっている場合はエクセルのテンプレートを活用することで勘所を抑えることができます。
この記事では、エクセルで営業管理するポイントを解説するとともに、おすすめのエクセルテンプレートを6つ紹介します。
目次
営業管理とは
営業管理とは、「売上達成に必要な数値・行動目標を設定し、メンバーの業務プロセスを管理・マネジメントしながら営業効果を高めていくこと」です。
営業メンバーは、会議資料や報告書の作成など、売上に直結する「純粋な営業活動」以外の業務に追われることがあります。だからこそ、「営業管理=メンバーの行動管理」と認識されてしまうケースが多いのですが、営業管理の目的はあくまで売上目標に対するリソースや行動の最適化です。
営業管理が適切に行われると、以下のような効果が期待できます。
- メンバーが成果を出しやすくなる
- 業務処理スピードがアップする
- ナレッジのブラッシュアップになる
- ノウハウ継承の仕組みが確立できる
営業管理に利用できるツールとしては、「エクセル」「SFA(営業支援システム)」「MA(マーケティングオートメーション)」「問い合わせ管理ツール」「名刺管理ツール」などが挙げられます。
ここではエクセルでの営業管理について説明しますが、詳しい営業管理の方法とおすすめのSFAについて知りたい方は以下をご参照ください。
エクセルで営業管理を行うメリット・デメリット
エクセルは営業管理に限らず、データを共有したいときによく使われます。エクセルでの営業管理をスタートさせる前に、エクセルを使うメリット、デメリットを理解しておきましょう。
エクセルで営業管理するメリット
エクセルを含むMicrosoft 365はほとんどの企業に導入されており、新入社員でも使える馴染みのある表計算ソフトです。そのため、導入コスト・教育コストがかからない点が最大のメリットと言えます。
システムやツールにはデフォルトで項目やフローが設定されているので、一律の管理に難色を示す営業メンバーは少なくありません。エクセルなら異なる営業スタイルに合わせ、自由にカスタマイズができます。
エクセルで営業管理するデメリット
エクセルはあくまで表計算が目的のアプリケーションなので共有には向いておらず、チームでの運用に関しては他のツールよりも劣る可能性があります。他システムとの連携が難しく、部門やチームが独自のファイルを運用している場合、データを統合するのに時間と手間がかかってしまいます。
属人化の問題を解決するには「誰が見ても一目でわかる状態にする」ことが重要ですが、エクセルは入力セルを探し出すなど無駄な工数が多く、データを蓄積するだけで、属人化の問題を解決するに至らない場合もあります。
エクセルでの営業管理に必要な指標(項目)とは?
適切な営業管理とは、営業プロセスごとに必要なデータを蓄積し、そのデータを分析することで課題解決につなげることです。
以下の指標を参考に、自社にとってどんな指標が必要なのか、どんなデータを蓄積すべきなのかを考えましょう。
目標管理
目標管理とは、売上目標に対する進捗管理のことです。個人・チーム・部門ごと、日次・週次・月次で細分化し、進捗率・達成率を管理します。
目標管理では、トップダウンとボトムアップのバランスを取りながら、現実的に達成可能な数値を定めます。蓄積されたデータは、KPI管理や考課にも活用されます。
エクセルで管理する際の指標例は以下です。
- 売上目標
- 商談件数
- 受注数
- 受注単価
- 成約率
- 解約率
- 売上達成率
メンバーは個人の目標と達成度を毎日上長と共有し、企業は個人・チーム・部門ごとの売上を把握します。売上予測に対し実際の数値が上回る場合は、上方修正、未達の場合は下方修正するなどして、目標そのものを調整する場合もあります。
案件(商談)進捗管理
案件進捗管理とは、商談が成約するまでの進捗状況を管理することです。顧客の意欲や営業メンバーの感触、商談成立の可能性を数値化して、段階的なアプローチやマーケティング施策を展開します。
エクセルで管理する際の指標例は以下です。
- 案件名
- 有効商談数
- 担当者コメント
- 商談準備
- 受注確度
- 受注予定金額
シートはチームで共有し、進捗に問題があれば適切なサポートやフォローを実行します。進捗を可視化することで業務の属人化を防げ、引き継ぎやトラブル対応のスピードアップも期待できます。
行動実績管理
行動実績管理とは、目標達成までのプロセスを最適化するために、メンバーの行動を管理することです。営業のリソースには限りがあるため、効率的に新規開拓ができているか、既存顧客に対するアプローチの抜け漏れがないか、などをチェックします。
エクセルで管理する際の指標例は以下です。
- メンバーのスケジュール(日/週/月)
- アプローチ方法
- 獲得アポイント数
- 新規開拓顧客数
- 休眠顧客掘り起こし
このようなデータを蓄積することにより、何が原因で成約に至らないのか、どのステップに問題があるのかが明確になるので、業務フローの改善が見込めます。
顧客管理
顧客管理とは、事業戦略の立案や利益の拡大を目的として、顧客の情報(企業規模や業種など)を管理することです。エクセルで顧客情報を管理する際は、データベースを作成して、そこに情報を蓄積していきます。
蓄積したデータを分析することで、メンバーや上長の勘や見込みに頼ることなく、今後力を入れるべき業界や既存顧客へのアプローチ方法、顧客のニーズなどを導き出せます。
エクセルで管理する際の指標例は以下です。
- 顧客維持率
- 顧客満足度
- プロダクト・エンゲージメント
- 契約更新売上高
顧客情報の蓄積で終わらせずに関係性まで管理できれば、LTV(ライフタイムバリュー)の向上につなげられます。
営業管理に使えるおすすめエクセルテンプレート6つ
インターネット上に公開されているエクセルテンプレートを使うことで、営業管理用のエクセルを自作する手間が省けます。
ここでは営業管理に適したエクセルテンプレートや公開サイトを、ピックアップして紹介します。
1.Microsoft Office「営業計画・管理」
Microsoft Officeのビジネス向けエクセルテンプレートサイトには、以下のように営業管理に使えるテンプレートが豊富に用意されています。
- 売上管理表
- ビジネス振り返りシート
- 売上目標管理表
- 売上管理表
- ビジネスタスク管理表
ダウンロードページに入力・運用方法がイラストでわかりやすく示されており、各項目欄に何を入力すべきか詳しく解説されているので、すぐに運用開始できます。
エクセルのほかにワードやパワーポイント、OneNoteのテンプレートも無料で公開されているので、使いやすくて機能的なテンプレートが見つかるはずです。
2.bizocean「売上管理・営業管理の書式テンプレート」
bizoceanは、日本最大級のテンプレートサイトです。「売上管理」や「営業管理」などのキーワードで検索すると、数多くのテンプレートがヒットします。
以下のようにラインナップが豊富で、業界別に特化したテンプレートが多いのも特徴です。
- 売上実績表
- 営業個人別予算表
- 商談管理
- 営業管理シート
- 営業行動数算出シート
シンプルな設計のテンプレートが多く、カスタマイズしやすいテーマも多く用意されています。ダウンロードには、bizoceanの会員登録(無料)が必要です。
3.HubSpot「営業案件及び営業進捗管理エクセルテンプレート」
「営業案件及び営業進捗管理エクセルテンプレート」は、CRMプラットフォームやSFAなどの開発を行う、HubSpot社が提供する無料のエクセルテンプレートです。HubSpotのエクセルテンプレートでは、以下のように複数の指標を管理できます。
- 営業部門の売上
- 実績目標管理
- 商談管理
- 顧客管理表
指標についての説明はコメント欄に詳しく記載されていて、数値が簡単に視覚化できるようマニュアルも充実しています。ダウンロードするには氏名、メールアドレス、社名、従業員数などの入力が必要なため、プライバシーポリシーをよく読んでから判断してみてください。
HubSpot「営業案件及び営業進捗管理エクセルテンプレート」
4.日本アプリケーション開発「エクセルカードHARI」
「エクセルカードHARI」は、Windows用のエクセルテンプレートです。無料のフリー版と有料のライセンス版が提供されており、フリー版では100件、ライセンス版では1万件までの顧客情報が管理可能です。
管理したい項目を自由にカスタマイズでき、レイアウト変更も自由自在、操作方法はダウンロードサイト上で丁寧に解説されています。項目が増えても1画面で表示できるので汎用性が高く、業種を問わず活用できます。
エクセルでの営業管理を今すぐスタートさせたい方におすすめのテンプレートです。
5.Vector「Excel Form 顧客管理」
「Excel Form 顧客管理」は、無料で使えるシンプルなエクセルテンプレートです。顧客情報からまとめて「はがき印刷」「封筒印刷」ができるので、DMを中心とした営業管理にも活用できます。
選択した項目だけ一覧にして表示したり、CSV形式で出力も可能です。すでに管理したい指標や運用フローが定まっている場合におすすめできるテンプレートです。
6.[文書]テンプレートの無料ダウンロード「顧客管理台帳(顧客台帳)」
「顧客管理台帳(顧客台帳)」は、紙ベースでの営業管理に適した無料エクセルテンプレートです。「売上情報」「販売履歴」「営業履歴」など、顧客1人1人のデータを掘り下げ、見込み客リストとして運用するのに適しています。
営業管理に必要な指標がまだ定まっていないときは、顧客管理からスタートさせるとスムーズです。シンプルな形式なので、ひな型やたたき台としてチーム用にカスタマイズしてみてください。
[文書]テンプレートの無料ダウンロード「顧客管理台帳(顧客台帳)」
エクセルでの営業管理のポイント
エクセルを使えば、コストをかけずに営業管理業務を効率化することも可能ですが、いくつか注意すべき点もあります。エクセルでの営業管理を成功させるためには、以下で紹介する3つのポイントを押さえておきましょう。
メンテナンスのルール作り
エクセルでの営業管理を行うなら、メンテナンスのルールを明確に定義しておくことが重要です。テンプレートを使わずにエクセルで営業管理をする場合、ファイルのメンテナンスが属人化してしまう可能性があるからです。
作成者しかメンテナンスできないようなエクセルファイルでは、メンテナンス対応が追い付かなくなるかもしれません。担当者が変わった場合でも業務に支障が出ないよう、「データは1行につき1案件」「余計な空白を作らない」「セルは結合しない」など、基本的なルールは徹底しておきましょう。
作業効率の維持
エクセルで営業管理を行う場合は、作業効率の維持を意識する必要があります。
データ量の増加やマクロの複数利用、複数人での同時作業により、エクセルファイルの動作は重くなるため、作業効率を落とさないような運用をしなければなりません。そのまま使い続けると、ファイルの保存に失敗したり、データが破損してしまう可能性もあります。
データの消失や作業効率の低下を防ぐため、定期的に「行数、列数の見直し」「不要なシートの削除、または移動」「チーム内で作業時間をずらす」などの対策が必要です。
セキュリティ面への配慮
エクセルで営業管理をする際は、セキュリティ面にも配慮しなければなりません。エクセルは汎用性が高く、誰でも簡単に扱えるので、情報漏えいやデータ紛失のリスクが高まるからです。
また、エクセルテンプレートをダウンロードする際にウイルスに感染してしまう可能性もあるため、信頼できるサイトからのみダウンロードするなどの配慮が必要です。
おわりに:営業管理には「formrun」もおすすめ
ここまでエクセルで営業管理する方法を解説してきましたが、ビジネスの成長を加速させるには、エクセルよりもツールの導入が効果的です。
formrunはフォームから問い合わせを受け付けて、営業アプローチする顧客を管理するのに適したツールです。formrunでは、フォーム経由のリード獲得からそのまま営業管理につなげられるので、顧客データを別ファイルに登録し直す必要がありません。
カンバン方式のボード画面で、誰がいつどのような対応をしたのかが可視化され、チームの営業進捗や案件のステータスがタイムリーに把握できます。
問い合わせフォームと顧客管理を紐づければ、営業先の優先順位が明確になり、必要な商談を逃しません。
formrunはシステムの知識がなくても、現場でカスタマイズできるので、営業管理をスモールスタートさせるのに適しています。問い合わせフォームと顧客管理を連携させて営業管理を推進するなら、ぜひ無料のformrunをお試しください。