顧客情報を一元管理し、業務効率化や生産性の向上を実現するためには、CRMを導入したマネジメントが必要です。
大きな企業がCRMを利用するものだとイメージするかもしれませんが、近年は中小企業であってもCRMを導入する企業が増えています。
特にアナログで顧客管理を行っている中小企業の場合は、CRMの導入により業務効率化を大幅に実現できます。
以下のように、CRMの導入に不安を抱えている中小企業担当者の方も多いと思います。
- 既存の顧客管理の方法では限界を感じている
- 中小企業におすすめのCRMを比較検討したい
- CRMの特徴や料金、機能をまとめて知りたい
そこで今回は、CRMのメリット・デメリットや選ぶ際のポイント、おすすめのCRMツールなどをご紹介します。
目次
中小企業こそCRMを導入すべき2つの理由
日々の業務が忙しい中小企業こそ、CRMの導入を検討すべきです。ここではその理由を2つご紹介します。
1.人手不足でも顧客管理ができる
CRMの導入により人手不足でも顧客管理ができます。
例えば、資料作成時間の大幅な短縮ができます。顧客情報の管理やレポートの作成を手作業で行っている場合、資料作成だけでも多くの時間を費やしてしまいます。
しかし、CRMに備わっている顧客データの自動集計やレポート、見積書、請求書の自動作成などの機能を使うことで、手作業で行っていた資料作成の手間を削減できるのです。
慢性的な人手不足に悩まされることも多い中小企業では、CRMの導入によって業務効率化を実現できます。
2.スピード感のある運用が可能
中小企業は大企業よりも社員数が少ないため、スピード感のあるCRMの導入・運用が可能です。
大企業がCRMを導入する場合は、導入の稟議をはじめとしたさまざまなプロセスを経る必要があります。
しかし、社員数の少ない中小企業では、現場の担当者から決裁権のある上長に対しての距離が近いです。そのためスピード感を持って導入、運用できることはもちろん、運用後に発覚した問題への対処や改善もしやすいのです。
中小企業がCRM導入で得られるメリット5つ
CRMの導入により中小企業が得られる5つのメリットを紹介します。
1.営業活動を把握できる
CRMを導入することにより顧客情報の一元管理が可能なため、部署や営業という壁を横断して全社で顧客情報の見える化ができます。
中小企業といっても自社の営業担当者が多い場合、顧客情報はそれぞれの営業担当が保有しています。案件の管理方法が担当ごとに異なるので、活動履歴や顧客ステータス、進捗状況の管理が属人的となってしまいます。CRMによってそれを防げるのです。
また、今日ではECやSNS、メールマガジンなど、さまざまな方法を用いて顧客へアプローチする、オムニチャネルが流行となっています。CRMの導入により、各種ツールとの連携が可能になるので、さまざまなチャネルでバラバラになっている情報を一元管理できます。
これから販売チャネルを拡大していこうと計画している中小企業、既にさまざまな販売チャネルを活用している中小企業にとっても、CRMの導入は重要なのです。
2.チームでの対応
中小企業ではひとりの社員がさまざまな顧客を担当することが多いからこそ、チームとしての連携、対応が重要になります。
チームとしての対応ができないと、問い合わせごとに担当者に都度確認しなければならず、余計な手間が発生してしまいます。 CRMを利用することで、こういったチームでの連携が可能になるのです。CRMを導入すれば、すべての顧客ステータスをすぐに確認できる上に、顧客情報や応対履歴などを簡単に見ることができます。
このように担当者が異なる場合であっても、顧客に合った施策を打つことができるため、受注率向上が期待できます。
3.分析も楽に
CRMを利用することで、中小企業でも施策の分析が簡単にできるようになります。
施策ごとにかかるコストや効果を抽出し、データを掛け合わせてグラフで表示するなどの分析ができるようになるのです。
今までマーケティングを感覚的に行っていた中小企業の場合、CRMを利用することで分析結果をもとにした論理的な方針を立てることができるようになります。CRMで表示されるデータを見ながら顧客ステータスに合わせて確度の高い、適切なナーチャリングが行えるのです。
また、顧客ごとの詳細なデータが管理できるため、営業担当や部署ごとに必要な情報を抜き出してレポートを作成できます。ツールを横断してさまざまなデータを抽出する手間がなくなるので、分析の負担が軽減されます。
4.情報共有が簡単に
CRMを導入すると、いつでも必要なときに必要な情報を抽出してデータを共有できます。
中小企業では顧客情報をエクセルで管理していることが多いですが、エクセルでは情報の共有に不都合があります。ひとりが更新作業をしていたら、作業完了まで待たなければいけないからです。
一方、CRMでは同時に編集作業が行えるうえ、スマホやタブレットなどデバイスを問わず、リアルタイムで情報共有が可能です。ユーザーの権限管理なども簡単に行えます。
5.セキュリティも安心
CRMはアクセス権限の管理はもちろん、マルウェア対策やデータの暗号化などセキュリティ対策が万全です。
中小企業では顧客情報などの管理も属人化しているケースが多いため、データが社外に流出してしまうリスクがあります。顧客情報は非常にセンシティブなデータであり、万が一社外に流出してしまった場合には大きな損害となってしまいます。 セキュリティ対策についてCRMツールごとに明記されているので、確認することをおすすめします。
中小企業のCRM導入のデメリット3つ
CRMにはさまざまなメリットがありますが、中小企業にとってコストの問題や、継続的な運用ができるかどうかなど、デメリットもあります。
1.効果が出るまでに時間がかかる
CRMは効果が確認できるようになるまで時間がかかってしまうことがあります。
CRMでは、蓄積したデータを元に分析を行い、施策を考案して実行、施策の改善を行うというPDCAサイクルを回す必要があります。分析を行うためのデータの蓄積には一定の期間がかかってしまうのです。 そのため、CRMの導入は長期的な目線で検討する必要があります。
2.コストがかかる
CRMの導入にはさまざまなコストがかかります。初期費用や月額利用料などの金銭的なランニングコストや、運用でかかる人件費や教育に要する時間などが挙げられます。
特に、中小企業で人件費や教育にかけられるコストが少ない場合は、必要なCRMの機能と自社のリソースがマッチしたCRMの選定が重要です。
また、CRMにはクラウド型とインストール型の2種類があります。クラウド型は月額課金であり、インストール型はライセンス購入費用や、サーバー代などの初期費用のみがかかります。 インストール型はクラウド型と比較すると、初期費用や運用、管理の面でコストが割高になります。
今日ではクラウド型が主流となってきていることからも、初めてCRMを導入する中小企業はクラウド型のほうがよいかもしれません。
3.運用体制を整える必要がある
CRMの導入前では、運用・教育体制の整備をする必要があります。
中小企業ではリテラシーもさまざまですし、社内にエンジニアがいないこともあるため、CRMを導入すると社内の混乱を招く可能性があります。 中小企業にありがちなトップダウンでCRMを導入したとしても、現場では使いづらく、他業務に支障をきたしてしまう可能性があります。
現場の声を聞くのはもちろん、CRM導入におけるプロジェクトチームを設置するなど、導入前から運用体制を整えることが重要です。
中小企業のCRM選定における4つのポイント
自社に合ったCRMを選ばなくては、思ったような効果が得られなかったり、途中で運用が頓挫してしまったりする可能性があります。 ここでは、中小企業が重視した方がよいCRM選定のポイント4つをご紹介します。
1.価格は適正か
CRMの導入価格は適正か、少額のプランやオプションなどに応じてそれぞれ課金があるかどうかを確認します。 CRMによっては、中小企業にとって使いやすい少額プランもあります。まずは少額プランで始めてみて機能の不足を感じたときには上位プランへ変更しましょう。
また、多くのCRMには無料で利用できるトライアル期間が設けられていますので、使い勝手を確かめてから本格的に導入を検討するのがよいでしょう。
2.使いやすいUI設計となっているか
担当者や部署の人間が使いやすいUI設計となっているかどうかが重要です。
流行りや有名どころのCRMを導入しても使いづらければ意味がなく、現状の顧客管理の方法より時間がかかってしまう可能性もあります。少ない教育コストですぐに運用できるCRMを利用しましょう。 特に中小企業では、人によってリテラシーが異なるので、どんな人でも使いやすいツール選定が大事です。
3.サポートは充実しているか
中小企業ではCRMの導入にトラブルなどがあった際、すぐにサポートしてもらえるかも重要なポイントです。
サポート時間やサポート内容を確認しておきましょう。 また、保証期間などや営業時間の表示があるかどうかも、各CRMのサービスページでの確認が必要です。
4.目的や課題にマッチしているかどうか
CRM導入前に自社の目的や課題は何かを洗い出し、その目的や課題を達成、解決できるツールを選定する必要があります。
自社の課題や目的に沿っていなければ、CRMを導入したとしても十分な効果は発揮できないからです。 例えば、有名なCRMではSalesForce Sales CloudやHubSpotが挙げられます。これらは案件、売上、スケジュールの管理など他にもさまざまな機能を保有しています。そのため、入力する項目が増えてしまい、かえって不便と感じてしまう可能性があります。
機能は多すぎても使わない結果となり、少なすぎても機能不足と感じる可能性があるため、自社にとって過不足の無いツール選定が重要です。
中小企業におすすめのCRM6選
ここでは、中小企業担当者でもストレスなく使える、おすすめのCRMを6つご紹介します。
中小企業におすすめのCRM比較表
おすすめのCRMが一覧でわかるように、以下の4項目で比較表を用意しました。
- 無料トライアル期間
- 機能
- コスト
- サポート
無料トライアル期間 | 機能 | コスト | サポート | |
---|---|---|---|---|
formrun(フォームラン) | 無料利用期間に制限なし。 すべての有料プランで14日間のトライアル期間あり。 |
| 無料プランあり。
| あり |
FlexCRM | 3ヵ月(90日間)のトライアル期間あり。 |
|
| スタンダードはメールサポートのみ、プレミアムとエンタープライズはメールに加え電話サポートもあり。 また、導入サポートは全プラン別途見積が必要。 |
kintone(キントーン) | 30日間のトライアル期間あり。 |
|
| あり |
ちきゅう | 15日間のトライアル期間あり。 |
|
| あり |
SATORI(サトリ) | あり |
| 初期費用300,000円および月額148,000円(別途有料オプションサービスあり) | あり |
Zoho CRM(ゾーホー) | 15日間のトライアル期間あり。 |
|
| あり |
※内容は公式サイトを参照
1.formrun(フォームラン)
formrun(フォームラン)は直感的にフォーム作成ができ、顧客のステータスなどの顧客データの一元管理ができるツールです。
フォーム作成時には広告タグ埋め込みにより、リードの経路把握ができます。他のCRMだと広告タグを埋め込むのに10万円以上の価格になってしまうことがありますが、formrunで低価格のプランでタグ埋め込みができます。
また、HTMLやCSSを利用したオリジナルフォームの作成も可能であり、フォームのCVRを高めてリード獲得数を増加させられます。無料期間に制限がないので、とりあえず試してみたいという中小企業におすすめです。
2.FlexCRM
FlexCRMはノイアンドコンピューティング株式会社が展開する、低価格で少人数の中小企業でも利用できる、シンプルなCRMです。導入後すぐに利用でき、企業ごとの顧客データベースを簡単に構築できます。 スタンダードプランは月額1,200円/ユーザーから利用でき、3ヵ月(90日間)のトライアル期間も用意されています。
3.kintone(キントーン)
kintone(キントーン)はサイボウズ株式会社が展開する、部署別や用途別に自由にカスタマイズできるグループウェアです。
顧客管理機能では顧客のあらゆるデータを集約し、進捗状況を可視化できます。 スタンダードコースには30日間の無料トライアル期間があり、ライトコースは月額780円/ユーザーから利用できます。
4.ちきゅう
ちきゅうは株式会社ジーニーが展開する、定着率99%を誇るCRM です。
使いやすさを重視したシンプルな設計となっており、ほとんどの企業が平均1ヵ月~2ヵ月で運用開始できている点がポイントです。 15日間のトライアル期間もあり、月額1,480円/IDから利用できます。
5.SATORI(サトリ)
SATORI(サトリ)はSATORI株式会社が展開する、豊富なサポートが特徴の純国産のCRMです。
最短で即日稼働ができるのも特長です。 料金は月額148,000円から利用可能であり、トライアルで利用するにはお問い合わせをする必要があります。
6.Zoho CRM(ゾーホー)
Zoho CRMは、ゾーホージャパン株式会社が提供している全世界15万社の利用実績があるCRMです。見込み客や取引先、連絡先を関連付けて顧客にまつわるあらゆる情報を一元管理できるため、中小企業にありがちな情報管理の属人化を解決します。 15日間のトライアル期間もあり、月額1,440円/ユーザーから利用することができます。
中小企業のCRMの活用事例
以下では、実際にCRMを導入した中小企業の事例を2つご紹介します。
クラウドビジネスを展開するIT系企業の事例
とあるIT系の企業では、顧客の分析に「Google Analytics」を使用していたものの、分析結果から顧客ひとりひとりに対して確度の高いアプローチができていませんでした。
しかしCRMを導入し、顧客の状況や行動に合わせたポップアップ表示機能などを活用することで、的確なアプローチやWebサイト経由でのリード獲得が期待できるようになりました。
導入後に使いこなせないという事態を避けるため、サポート体制も選定ポイントのひとつであったようです。
参考:https://satori.marketing/usecase/isr/
締固め機械の製造・販売・組立を展開する企業の事例
製造業の企業では、各担当者が顧客情報をエクセルで管理していたため共有や進捗管理が属人化していました。
また、リアルタイムでの効率的な情報共有ができていませんでした。 CRMの導入により全社員の営業情報が見える化され、レポートなどを作成する時間も削減できたため、生産性や営業力の向上を実現しました。
参考:https://chikyu.net/wpc/wp-content/uploads/2020/12/chikyu_ebook_11_SFA_jirei_2ea32w.pdf
中小企業でもCRM活用で成果が出せる
これまでにCRMのメリットやデメリット、選定ポイントやおすすめのCRMなどをご紹介してきましたが、重要なのは自社の目的と用途にあったCRMを選定することです。
自社に合ったCRMを利用することで成果を最大化できますし、余計なコストを抑えられます。 コストを抑えながら自社のフォームに訪れた顧客の情報を一元管理するのであれば、「formrun」がおすすめ。
フォームの運用に必要なあらゆる機能が備わっており、専門知識が無くても簡単に使うことができます。 顧客情報の共有や管理も簡単にできるので、ぜひ利用してみてください。