テレワーク・リモートワーク時代のBtoBマーケティングにおけるターゲット・バリューの考え方

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新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に伴う、東京都の緊急事態宣言の解除から約1ヶ月が経ちました。

緊急事態宣言の中で、企業はテレワーク/リモートワーク対応、出勤シフトの調整などで政府が要請する3密回避や出勤人数7割減への対応を行いました。テレワーク体制の構築を行いながら業績やオペレーションを維持するために忙しかった方も多かったのではないでしょうか。

緊急事態宣言は解除されましたが、感染拡大による私たちの暮らしやビジネスへの影響がどうやら一過性では終わらないことが現実的になってきた今、この状況に対する防御だけではなく、今後想定される変化を前提としたビジネスの再構築が求められつつあります。当初は一時的だったコロナ対策が、時間の経過とともに「With コロナ」「After コロナ」と対象が短期間で急速に広がり、企業は対応に追われています。

本記事では、変化の著しいビジネス環境の中でも、顧客接点の起点となるマーケティングに焦点を当て、複数回にわたって新型コロナ以降の働き方、ターゲット・バリューの考え方の変化について解説します。

初回は、ターゲット・バリューの考え方における変化がテーマです。

ターゲット・バリューとは?

マーケティングはもちろん、新規事業に関わる方にとってはもはや説明不要ともいえるキーワードです。

  • ターゲット:誰に対して = 顧客は誰か?
  • バリュー:どんな価値を = 顧客のどんな問題をどうやって解決するのか?

特にターゲットの課題に深く切り込んでいくBtoB領域では必須の、マーケティングのみならず事業計画においても重要なフレームワークです。

ターゲットは基本的には、年齢や性別、地域といったデモグラフィック属性から、BtoBであれば業種や企業規模、役職(意思決定権の有無)などがベースになります。もちろん、サービスのユースケースまで踏み込んた細かいターゲット設定や、複数のターゲットを対象とする場合もあります。

すでに展開している事業であれば、初期のターゲットおよびバリューは決まっていますので、今回はターゲットを構成する要素に「新型コロナおよびテレワーク・リモートワーク化による影響」を組み合わせて考えていきます。

ターゲット・バリューに影響するトレンド変化

では、このターゲット・バリューに新型コロナおよびテレワーク・リモートワーク普及はどのように影響するのでしょうか?BtoB向けに3つの軸で整理してみます。

コミュニケーションの変化

今までは「オフィスにいる」「必要なら訪問できる」「参加しやすいイベント開催」などを前提にコミュニケーションが行われました。

オフィスに電話したり、訪問やオフラインイベントで接点を作る活動です。見込み客から見ても「電話だけなら」「話を聞くだけなら」と応じやすく、受注につながるかどうかはともかく、マーケティング〜営業プロセスの隙間をなだらかに埋める効果がありました。

テレワーク時にはこれがオンライン中心になります。今までのようにプッシュ的に架電したり、検討段階が浅いうちから訪問したり、イベントでのカジュアルな関係構築が難しくなりつつあります。今後はますます、見込み客にとってのメリットを端的にかつ一方的なコミュニケーションに頼らずに訴求していく必要が増すでしょう。

コスト構造や投資配分の変化

特にこの数カ月は、いつ落ちるかわからない業績に対してコストを下げることで防御する動きが増えるでしょう。

売上に直結しない間接部門への投資がペンディングになったり、広告においてもブランディング予算(CMや交通広告など)が、リスティングやリターゲティングなど獲得効率を重視した予算にシフトする可能性があります。

またテレワークの浸透はオフィスに対する考え方を変えました。固定費の中でも大きな割合だった賃料をどう考えていくかは引き続きホットなテーマになるでしょう。中期的には人件費に対する考え方にも影響する可能性もあります。

ビジネス手法の変化

これまでは当然と思われていた手法が見直される機会が増えています。

対面営業や実印による押印はこれまでも非効率と言われつつも根強く残っていましたが、この局面でかつてないデジタルシフトを迎えています。BtoBマーケティングには有効と言われていた展示会やセミナーなどのリアルチャネルも使えなくなり、それに頼らない施策を各社が打ち出しています。社内においても会議運営や採用面接においてテレワーク時代を見据えた手法に急速にシフトしています。

自社ビジネスのターゲットとなる企業でも、これらを背景にした新しい意思決定、検討が進んでいることをふまえることが必要になります。

テレワークによる変化をふまえたバリュー訴求

次に、従来のターゲット・バリューに、上記の3つの変化を組み合わせ、どんな訴求ができるか具体的に落とし込みます。

ポイントは「なぜ今なのか?」の視点です。これまでも「Why You」「Why Now」の視点はセールス・マーケティングにおいて必須の考え方でした。これを「今 = 新型コロナの影響」の時代に合わせてブラッシュアップします。

以下に訴求メッセージの例を5つ紹介します。自社のサービスにこれらの視点を組み合わせることでどのように表現できるか検討してみましょう。

①テレワーク実行体制を支援

テレワークを実行するための支援です。

Zoomなどのオンライン会議ツールはもちろん、情報共有の仕組みや、従来は出かけたり集合して行っていたこと(助成金や許認可申請、採用面接、社員研修など)を代替、支援する方法も対象になります。

同じ社内でもテレワークへの移行しやすさは部署や職種によって異なります。今後は特定領域にに絞ったテレワーク移行のサポートも増えてくるでしょう。

②このタイミングだからこそできる強化策

以前より時間が捻出できるようになった今だからこそできる強化策です。どちらかというと人事、経理、法務、などの間接部門での取り組みが中心になるでしょう。

ただし、業績不安もあるので単純な投資は難しくなります。将来的なコスト削減や業績貢献効果を定量的に提示できるかが重要になります。

③コスト構造の変化を支援

業績悪化に備えたコストの削減は、ほぼすべての企業が検討しているといえます。

その中でもオフィス賃料はテレワーク文脈の中で真っ先に削減が検討される費用です。

  • リモートワークと組み合わせてオフィスを縮小・移転したい
  • 今の賃料をできるだけ抑えたい
  • 在宅勤務を支援する費用を捻出したい

といった課題解決を支援できるか考えてみましょう。

また中長期的には人件費も検討の対象になる可能性があります。単純なリストラではない、人材の有効活用、柔軟な人材獲得を支援するサービスが増えることが予想されます。

④新たな売上確保を支援

こちらはBtoB、BtoC両方にあてはまります。新しく生まれたターゲットを可視化し、リーチする方法がないかを考えます。

  • チャネルをオンラインに絞ったことでコストが下がり、安価にサービス提供できるようになった
  • 大企業向けだったけど、中小企業向けにも提供できそう
  • BtoB営業ツールを活用してBtoCの対面営業も支援できるかもしれない
  • セールス向けのツールが、コンサルティングや教育においても活用できそう

このようなターゲットの変化に対して訴求する方法を支援する機会は増えそうです。

⑤セールス・マーケティングのデジタルシフトを支援

これまでデジタルシフトやDX化が進まなかった理由の一つに「そんなことしなくても売れていたから」があります。そうも言ってられなくなるこの状況を背景に、デジタルシフトを支援するサービスはさまざまな業界からのニーズが急激に高まる可能性があります。

  • セールスよりもマーケティング予算の比重を増やす
  • MAやSFAを導入する
  • 自社ならではのオンライン商談の型を作る
  • ユーザーデータ基盤の構築に着手する

といった機会に支援できるかを考えてみましょう。

これら視点を従来のターゲット・バリューに組み合わせることで、今後訴求すべきメッセージに落とし込んでいきます。

ターゲット・バリューの変更事例

事例としてもっともわかりやすいのは電子契約の分野です。

テレワークが普及しても、押印のためにしかたなく出社する人がいることをメディアで見聞きした方も多いと思います。いくつかの企業ではトップ自らがハンコをやめると宣言し、電子契約の導入が進んでいます。

電子契約の仕組み自体は2000年代からありましたが、ここにきて急速に普及の兆しを見せています。今までも「ペーパーレス」「収入印紙が不要」「モバイルでも承認できる」などさまざまなメリットを訴求していましたが、このコロナ禍の中で、「押印のためだけに出社しないで済む」という新たなバリューが後押しになっています。

これをターゲット・バリューで整理すると以下のようになります。

  従来 今後
ターゲット 企業の法務や管理部門 企業のトップをはじめ全部門
バリュー ペーパーレス化、収入印紙が不要、権限やワークフロー管理できる 押印のために出社する必要がなくなる


このように「なぜ今なのか?」を説得力をもって訴求することで、自社ビジネスにとっての追い風を作ることも可能になるでしょう。

訴求内容のPDCAにはツールも重要

ターゲット・バリューの変更のみならず、デジタルマーケティングに必要なのがPDCAを容易に実行できる環境です。

PDCAの対象は、Webサイト内のコンテンツ、ランディングページ、メール配信、提案資料、オンラインセミナー、など多岐にわたります。このPDCAをサポートするために必要なのが、CMSやフォーム作成、MAといったマーケティングツールです。

たとえば、無料から使えるフォーム作成ツール「formrun(フォームラン)」では、見込み客との接点として重要なフォームを高機能ながらシンプルな編集画面で作れます。ターゲットやバリューごとに入力内容が異なるフォームをかんたんに量産しアクセス解析やリスティング広告のCVと連携させてすばやくPDCAの起点を準備できるのです。

ぜひこのタイミングに、将来を見据えたデジタルマーケティングの強化を検討してみてください。

おわりに

新型コロナウイルス感染拡大を背景に普及する、テレワーク・リモートワーク時代のマーケティングにおけるターゲット・バリューの考え方の変化について解説しました。With コロナ、After コロナなど、来る変化を見越し先回りして施策を打っていきましょう。

次回は、テレワークやリモートワークを前提としたBtoBマーケティングにおいて、どんなコンテンツやチャネル設計をすべきかを紹介します。