問い合わせフォームとは、Webサイトに直接メッセージを入力・送信できる仕組みのことです。わざわざメーラーを立ち上げる必要がないので、ユーザーが気軽に問い合わせできるようになります。
ただ、これまで自社のWebサイトに問い合わせフォームを設置したことがない方は、「どんな仕組みになっているのか?」「どうやって作ればいいのか?」など気になるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、問い合わせフォームの仕組みを説明するとともに、フォームの基礎知識と作り方、無料でフォームを作成できるツールを紹介します。
目次
問い合わせフォームとは?
問い合わせフォームは、Webサイトから直接問い合わせを受け付けるために設置する入力欄のことです。問い合わせのほかに資料請求やイベント参加、セミナー申し込みなどさまざまな用途に利用できます。
自社サイトに問い合わせフォームを設置すれば、ユーザーはいつでも商品やサービスの問い合わせができますし、企業はインバウンドによるリード獲得(潜在顧客の発掘)を強化できます。
問い合わせフォームは、ユーザーと企業とって不可欠な仕組みであると言えます。
企業や店舗の受付窓口と同じ
問い合わせフォームは、企業や店舗の受付窓口と同じような役割を持ちます。
ユーザーは興味のある商品、行ってみたい店舗、受けてみたいサービスを検討するとき、インターネットを使って情報収集します。より多くの情報を入手しようと問い合わせフォームにアクセスするため、企業との最初の接点になることが多いです。
もし、問い合わせフォームの見栄えが悪かったり、操作しづらかったりすれば、ユーザーは企業に対して良い印象を抱かないでしょう。
ビジネスチャンスを逃さないためにも、見栄えが良く、使いやすい問い合わせフォームを作成・設置するべきです。
運用の仕組みづくりも大切
問い合わせフォームは、作成・設置して終わりではありません。ユーザーにメールアドレスや電話で返信する仕組みを整えたり、入力された情報を顧客システムと連携して厳重に管理したりする必要があります。
問い合わせフォームを導入する前に、社内でどのように運用していくのか、全体の流れを考えておくと良いでしょう。
問い合わせフォームの仕組みを解説
ここからは、問い合わせフォームの仕組みについて詳しく解説します。
まず、ユーザーが問い合わせフォームに必要事項を入力して送信ボタンを押すと、入力した内容がWebサーバー経由でサイト管理者に送信されます。このとき、PHPやGGIといったプログラムが動作します。
以下は情報処理の流れです。
- ユーザーの入力情報をWebサーバーが受け取る
- 入力情報に不正がないかチェックされる
- 入力情報がメールの本文形式に整えられる
- サーバーにあるSendmailと呼ばれるソフトでメールを送信実行
- メールアドレスやデータベースに入力情報が届く
PHPやGGIを使った問い合わせフォームのコードはWeb上にたくさん公開されています。しかし、自社のWebサイトのデザインに合わせたり、機能を付けるにはプログラミングの知識が必要です。
問い合わせフォームの構成
次に、問い合わせフォームの構成について説明します。
問い合わせフォームは次の3つのページで構成されています。
- 入力フォーム
- 確認画面
- 完了画面
自社で問い合わせフォームを作成して設置するときは、この3つのページのデザインを考えることになります。
それぞれの概要について説明します。
入力フォーム
入力フォームとは、ユーザーが問い合わせ内容を入力するページのことです。
フォームの形式や機能をカスタマイズすることで、最後までストレスなく入力できるフォームを作成できます。
以下は主要なフォームの形式・機能一覧です。
フォームの形式
テキストフィールド | 名前やメールアドレスなどテキストを入力する。 |
---|---|
セレクトボックス | プルダウンの中から一つだけ選択する。昇順・降順で並んでいる選択肢に向いている。 |
ラジオボタン | 複数の選択肢の中から、一つだけを選ぶ。 |
チェックボックス | 複数の選択肢の中から、あてはまるものをすべて選ぶ。 |
テキストエリア | 1行で書ききれないテキストを入力する。 |
送信ボタン(確認ボタン) | フォームに入力した内容を送信する(確認する)。 |
フォームの機能
自動入力漢字を入力するとふりがながついたり、郵便番号から住所が自動で入力される機能。
条件分岐 | ユーザーの回答に基づいて特定の設問に誘導する機能。ユーザーに応じて入力項目を調整できる。 |
---|---|
バリデーション | 入力された内容の妥当性を確認して、入力ミスを即座に指摘する機能。 |
必須項目 | 最低限入力すべき項目を指定する機能。 |
自動返信 | 送信ボタンを押したあとに、入力されたメールアドレスに予め用意しておいた文章を自動的に送信する。 |
確認画面
確認画面とは、フォームを送信する前に入力内容を確認できるページのことです。「戻る」ボタンで入力画面に戻れるため、より正確なデータを収集できます。
ただ、確認画面があることで「問い合わせするのはまた今度にしよう」「もう少し他のサービスも見てみよう」と、ユーザーが問い合わせフォームから離脱してしまう可能性があります。
リード獲得(潜在顧客の発掘)を目的とする問い合わせフォームであれば、入力画面にエラーを表示するバリデーション機能を付けるに留め、あえて確認画面を設置しないという選択もあります。
完了画面
完了画面とは、送信ボタンを押したあとに、入力内容が企業に送信されたことを示す最後のページです。サンクスページとも呼ばれます。
「自動返信メールを送信しました。○日以内にご連絡差し上げます。」、「お問い合わせありがとうございました。○営業日以内に担当の××よりご連絡致しますので今しばらくお待ちくださいませ。」など、フォローの流れについても記載しておくとより丁寧です。
問い合わせフォームを設置するメリット・デメリット
問い合わせフォームを設置する前に、メリット・デメリットを把握しておきましょう。
問い合わせフォームのメリット
問い合わせフォームには、以下のようなメリットがあります。
- 一次対応を自動化できる
- 24時間受付で機会損失を防ぐ
- メールアドレスを公開しなくていい
- 顧客情報の管理に役立つ
- マーケティングに活かせる
それぞれについて解説します。
一次対応を自動化できる
問い合わせフォームに自動返信機能を付ければ、一次対応を自動化できます。
電話やメールの場合、担当者がその場にいなければ迅速ない対応はできません。自動返信機能は「問い合わせ窓口に人材を配置できない」「担当者が事業所や店舗に常駐していない」といったシーンで役立ちます。
また、入力フォームの項目や選択肢を適切に設定することで、ユーザーのニーズが正確に把握できます。その後のやり取りもスムーズになるため、顧客満足度の向上にもつなげられます。
24時間受付で機会損失を防ぐ
問い合わせフォームは、24時間365日対応できるため、機会損失を防ぎます。
電話やメールでは、営業時間外や混雑時の問い合わせを取りこぼしてしまいます。また、ユーザーによっては会話や、メーラーを立ち上げることに抵抗を感じる人もいるでしょう。
問い合わせフォームの仕組みなら、対面することなく要件を伝えられます。心理的なハードルが下がるため、問い合わせ件数(コンバージョン数)が増える可能性もあります。
メールアドレスを公開しなくていい
問い合わせフォームの仕組みなら、Webサイトにメールアドレスを公開しなくても受付できます。
世の中には、Webサイトに公開されているメールアドレスを自動収集するツールがあり、そこから悪意のあるメールが送られてきます。
メールのURLや添付ファイルを開いてしまえば、個人情報や企業内機密情報が流出してしまうかもしれません。
対策なしにWebサイトにメールアドレスを載せるのはやめましょう。
顧客情報の管理に役立つ
問い合わせフォームと顧客管理システムを連携させれば、ユーザーが入力した情報を自動でデータ化できます。
電話やメール、FAXで問い合わせを受け付ける場合、顧客情報を手入力、もしくはコピー&ペーストで1つの形式にまとめなければなりません。これでは多くの時間やコストがかかりますし、対応の抜け漏れなどヒューマンエラーも発生しやすくなります。
問い合わせフォームから顧客情報を一元管理する仕組みを構築すれば、即座に営業リストやメーリングリストに活用できます。
マーケティングに活かせる
問い合わせフォームのデータを集計・分析すれば、集客や販売促進、プロモーション戦略に活用できます。以下はデータの活用例です。
入力結果の分析 | Webサイト内の分析 |
---|---|
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問い合わせフォームの仕組みは、業務効率化だけではなく、生産性も高められます。
問い合わせフォームのデメリット
問い合わせフォームにデメリットはほとんどありません。なぜなら、昨今の問い合わせフォームは、一昔前に比べて格段に性能がアップしているからです。
ただ、コンバージョン(問い合わせ数)を増やしたり、顧客データを一元管理する仕組みを構築したりするには、専門知識のある人材が必要です。
▶CVポイント
フォーム作成ツールなら、専門的な知識は必要ありません。誰でも簡単に問い合わせフォームを設置・運用できます。
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問い合わせフォームの作り方とは?
問い合わせフォームを作る方法は以下の3つです。
導入・運用のしやすさ | カスタマイズ | セキュリティ | URL | |
---|---|---|---|---|
自作 | △ | ◎ | △〜◎ | 自社 |
プラグイン | ○ | ○ | ○ | 自社 |
作成ツール | ◎ | ○ | ◎ | サービス会社 |
それぞれについて解説します。
1.HTMLやCSS、PHPなどコードで自作する
Webサイト制作の知識がある人材が社内にいれば、HTMLやCSS、PHPなどのプログラミング言語をつかって問い合わせフォームを作成できます。
以下は自作で問い合わせフォームを設置するまでの流れです。
- 問い合わせフォームのコードを書くファイルを作成する
- 入力・確認・完了ページのHTMLを作成する
- POST通信でフォームに入力したデータを送信して受信したデータを確認する
- ページ間のデータ受け渡し(戻るボタン)を実装する
- 入力したデータの無害化(サニタイズ)を実装する
- 必須項目などフォーム機能を実装する
自作のメリット
- 人件費のみで問い合わせフォームを作成できる
- デザインや機能などカスタマイズ性が高い
自作のデメリット
- プログラミングの知識が必要
- 他の方法に比べて時間がかかる
- 自社でセキュリティ対策を構築する必要がある
社内にプログラミングの知識がある人材がいない場合は、このあと紹介するWordPressプラグイン、またはフォーム作成ツールを検討してみましょう。
2.WordPressのプラグインを使う
WordPressを使って自社のWebサイトやブログを運用しているなら、WordPressプラグインを使って問い合わせフォームを作成・設置できます。
ここでは、利用者の多い「Contact Form 7」という無料のWordPressプラグインを使い、問い合わせフォームを作成・設置する流れを紹介します。
- 「Contact Form 7」をインストールする
- プラグイン一覧の中からContact Form 7を探して「設定」をクリックする
- 自動で作成された「コンタクトフォーム1」にカーソルを合わせて「編集」をクリックする
- 「フォーム」タブから項目をカスタマイズする
- 「メール」タブから自動返信の設定をカスタマイズする
- 「メッセージ」タブから自動表示されるテキストをカスタマイズする
- 「その他の設定」から完了画面をカスタマイズする
WordPressプラグインのメリット
- 無料のプラグインを使えばコスト削減できる
- プログラミングの知識がなくても作成できる
- HTML・CSSの知識が少しあれば、細かいカスタムが可能
WordPressプラグインのデメリット
- 細かい部分の設定はHTML・CSSの知識が必要
- プラグインを入れすぎると動作が重くなることがある
- セキュリティの観点からバージョンアップやアップデートの管理が必要
WordPressの操作に慣れている場合は、簡単に問い合わせフォームを設置できます。ただ、デザインをカスタマイズするにはコーディング(HTMLやCSS)の知識が必要です。直感的に操作したい場合は、次のフォーム作成ツールを選びましょう。
3.フォーム作成ツールを使う
フォーム作成ツールとは、プログラミングなどの専門知識がなくても、簡単に問い合わせフォームを作成・設置できるツールのことです。
クリック操作だけで項目を設定でき、問い合わせの管理に役立つ便利な機能も搭載されています。ツールには無料版と有料版がありますが、無料でも高品質なツールが数多く存在します。
以下はフォーム作成ツールを使って問い合わせフォームを設置する流れです。
- フォーム作成ツールにログインする
- 管理画面から項目・テキストをカスタマイズする
- コードを生成してWebサイトに埋め込む
フォーム作成ツールのメリット
- 今すぐ運用を開始できる
- 外部ツールと簡単に連携できる
- セキュリティが充実しているツールが多い
フォーム作成ツールのデメリット
- 無料でも使えるが、本格的に運用すると月額費用がかかる
- 外部サービスを導入するので契約が必要
フォーム作成ツールを使えば、誰でも簡単に問い合わせフォームを作成できます。
問い合わせの流れを仕組み化できるツールの選び方
問い合わせの流れを仕組み化できるフォーム作成ツールの選び方を紹介します。
セキュリティ対策が万全か
問い合わせフォームは個人情報を扱います。ツールの運営会社が情報セキュリティマネジメントの国際規格「ISO 27001」の認証や、プライバシーマークを取得しているかチェックしましょう。
また、Web上でデータを暗号化する仕組みである「SSL/TLS化」に対応しているか、社内で個人情報にアクセスできる人を制限する「権限設定」などの機能も必要です。
テンプレートは充実しているか
フォーム作成ツールにテンプレートが複数用意されているかチェックしましょう。
いくら簡単に作れたとしても、何もない状態から問い合わせフォームを作成するのは大変です。問い合わせ対応、資料請求、イベント受付など、目的に合ったテンプレートがあれば、すぐに運用を開始できます。
デザインの調整はできるか
フォーム作成ツールの中には、デザインのバリエーションが少ないサービスも存在します。
問い合わせフォームは見やすさ、使いやすさを優先すべきですが、あまりにもWebサイト全体の雰囲気と違うと、ユーザーが混乱してしまう可能性があります。
カラーやフォントにパターンがあるか、任意の画像を設定できるかなどチェックしましょう。
無料で試せるか
自社に最適なフォーム作成ツールを選ぶには、複数のツールを実際に使って比較する必要があります。無料プランやお試し期間のあるサービスを選べば、余計なコストを投入せずに済みます。
問い合わせ内容を管理する画面はあるか
複数名で問い合わせ管理するなら、必ず管理画面で問い合わせの進捗を確認できるサービスを選びましょう。
問い合わせフォームのデザインや機能がいくら充実していても、その後の対応がスムーズでなければ、顧客満足度は下がってしまいます。
管理画面があれば、だれが何の案件を担当しているのかひと目でわかるため、抜け漏れや返信の遅れを防げます。
問い合わせフォームの入力完了率を上げる8つのポイント
リード獲得を目的に問い合わせフォームを設置するなら、入力完了率を上げなければなりません。
ここでは、問い合わせフォームの入力完了率を上げる8つのポイントを紹介します。
1.項目を減らす
フォームの項目数を必要最低限にすることで、ユーザーの入力負荷を軽減できます。
入力項目が多すぎるとユーザーにストレスが溜まり、離脱の原因になります。メールアドレスの確認や詳細な個人情報は省き、ストレスのないフォームを作成しましょう。
2.必須・任意をわかりやすく表示
各項目の入力が必須・任意であるのか明確に表示することで、ユーザーはどのフォームに記入すればよいか理解できます。
仮にすべての項目が必須であっても、「必須」のラベルは付けた方がよいです。なぜなら、ユーザーが入力しなくても良いと判断し、送信時にエラーが出てしまう可能性があるからです。
3.入力例を記載
エラー表示でユーザーにストレスを与えないために、入力例やNG例を記載しておきましょう。フォーム領域にデフォルトで入力例を表示しておく方法も有効です。
何を入力すべきか瞬時に判断できるようにすることで、入力完了率を上げられます。
4.入力エラーはリアルタイムに表示
送信ボタンを押した後のエラー表示は、ユーザーにストレスを与えます。
ユーザーがその場で入力内容を修正できるように、どこでエラーが発生しているのか、何を修正すればいいのか、リアルタイムで表示しましょう。
5.ページ内に問い合わせフォームを埋め込む
Webサイト内に問い合わせフォームを埋め込むことで、ユーザーがページを行き来する手間を省くことができます。
問い合わせフォームは、入力画面や完了画面など複数のページで構成されているため、ページ遷移の回数をできるだけ少なくすることが重要です。
フォーム作成ツールを使えば、埋め込み用のHTMLコードを簡単に取得できます。そのコードをサイト内の任意の場所に貼り付ければ、そのままフォームの運用を開始できます。
6.レスポンシブ対応にする
レスポンシブ対応とは、さまざまなデバイスに合わせてデザインを最適化することです。レスポンシブ非対応の問い合わせフォームは、スマホなど小さなデバイスだと操作しづらく、ユーザーが離脱してしまう可能性があります。
レスポンシブ対応の問い合わせフォームにすることで、デバイスに合わせてテキストやボタンのサイズが調整されたり、適切なキーパッドが表示されたりします。
7.送信ボタンは目立たせる
入力完了率を上げるために、思わずクリック(またはタップ)したくなる送信ボタンをデザインしましょう。
ボタンのサイズは不自然にならない程度に大きく調整し、ブランドカラーや強調色(アクセントカラー)を使って目立たせます。
8.個人情報保護方針とプライバシーポリシーの掲載
情報セキュリティへの意識の高まりから、個人情報の入力に抵抗を感じるユーザーも少なくありません。
問い合わせフォームに個人情報保護方針とプライバシーポリシーを掲載し、ユーザーに不信感を与えないよう配慮しましょう。
まとめ:ユーザーが入力しやすい問い合わせフォームを作成しよう
問い合わせフォームはユーザーが入力しやすく、不信感を抱かせないようなデザインである必要があります。また、問い合わせフォームを設置して終わりではなく、運用するための仕組みづくりも重要です。
formrunはデザインやコードの知識がなくても、誰もが使いやすい問い合わせフォームを作成・設置できるツールです。問い合わせ対応の状況確認からメール対応まで、フォームに関わる業務をformrunで一元化できます。
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