マーケティングオートメーション(MA)の基礎知識とオススメツール7選

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「マーケティングオートメーション」といえばデジタルマーケティング、Webマーケティングに関わっている方なら一度は聞いたことのある単語でしょう。MAツールと呼ばれることもあります。

聞いたことあるどころか、業務で活用されている方も多いと思います。最近でも国産マーケティングオートメーション(MA)のSATORIが上戸彩さんを起用したTVCMを放映するなど引き続き認知が拡大しており、大企業を中心に広がっているデジタルトランスフォーメーション(DX)のキーとなるツールとしても期待されています。

実際にここ数年日本のSaaS企業の上場でもMAを提供している企業が目に付くようになりました。すでに先行している米国では、Salesforceの提供するPardot(パードット)、先日アドビ社に買収されたMarketo(マルケト)、コンテンツ発信に強いHubSpot(ハブスポット)など日本の数倍以上の規模のマーケットとなっています。

しかし認知拡大の反面、単語だけが先行し、周辺サービスが増えたことで正確な把握がしづらくなっている面もあります。本記事ではMAの解説や、ニーズごとにオススメのツールについて紹介します。

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マーケティングオートメーション(MA)とは

マーケティングオートメーション(MA)とは、おもに企業のデジタルマーケティング活動を自動化・可視化するために必要な機能を統合したソフトウェアです。多くの製品がSaaS形式で提供され、おもに4つの機能群を持ちます。

  • 顧客や見込み客との接点となる機能(Webサイトやブログ作成、フォーム、メール配信)
  • 管理分析機能(訪問者解析、リードスコアリング、キャンペーン管理)
  • 自動化を支援する機能(リードナーチャリング、シナリオ作成、レポート作成)
  • 他ツールとの連携機能(CRM、広告管理、SNSとの連携)

これらを1つの製品に統合することでマーケティング業務(= 見込み客を作る業務)を効率化し、営業やインサイドセールスに見込み度合いを可視化して効率的に共有できるようになります。

従来はCMS、メール配信ツール、アクセス解析ツール、などを組み合わせて人力でルーチン運用を組み立てることもありましたが、MAの登場でこれらを自動化できるようになりました。

MAはBtoC、BtoBどちらの事業でも効果がありますが、近年伸びているのはBtoB用途です。BtoCに比べるとBtoBではWebを活用したマーケティングが遅れていましたが、BtoB企業の見込み客がWeb上の情報を参考に意思決定をするケースが増えており、それとともにMAの活用シーンが増えてきたといわれています。

マーケティングオートメーション(MA)が必要な理由

マーケティングオートメーション(MA)はなぜ今注目されているのでしょうか?その理由を4つのトピックから紹介します。

1.Web上でのサービス検討の一般化

BtoCでなくBtoBの領域でもサービスの検討、意思決定までがWeb上で完結することが増えてきました。「顧客の6割以上は購買の意思決定において、価格以上に顧客体験が重要であると考えている」という調査データもあります。

これは、インターネットやスマホの利用浸透はもちろん、インターネットでの検索行動を当たり前と考える世代が企業の中でも多くを占めるようになったことも一因と考えられます。

それに比例して、ユーザーの属性データやWebサイトにおけるトラフィックからの行動データ、資料ダウンロードやお問い合わせなどのコンバージョンデータの量が爆発的に増加しています。膨大な見込み客に営業活動を行うのに、従来と同じように片っ端から電話するのは非効率です。

そんな中、効率的な営業活動をするために、見込み客の属性、Web上での行動などから自動的に優先順位のついたリードを集められるMAが脚光を浴びるようになりました。

2.マス的なコミュニケーションの限界

さまざまな分野においてサービスが成熟し、画一のマス的なコミュニケーションだけではターゲットのニーズを喚起することが難しくなっています。

ターゲットとなるリード企業の課題や業界状況、部署ごとの課題に応じてカスタマイズされたコミュニケーションが必要になってきており、条件に応じて訴求を最適化できるMAとの相性が良くなっています。

3.SFAやCRMを活用した営業手法の浸透

MAより先に登場したSFAやCRMツールは、それまでの属人的な紹介やアウトバウンドで総当り的に行動するしかなかった営業スタイルに変革をもたらしました。

SFAにより見込み客の属性や商談進捗、フェーズ、受注/失注理由、ネクストアクションの管理を可視化し、営業活動の再現性が上がりました。これらSFA/CRMの効果を最大化するための見込み客の供給方法としてMAが期待されています。

4.働き方改革や労働人口減少による効率化ニーズ

この数年、とくに日本において労働人口減少や働き方改革のトレンドを背景に効率化のニーズが急速に高まっています。大企業を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)のトレンドも加速しており、今までは少数派だったSaaSやRPAの活用が当たり前になりつつあるため、導入の追い風になっています。

これらのトレンドはデジタルマーケティングとの相性もよく、複数のツールを連携、自動化して使いこなし、少ないリソースでマーケティング体制を設計することは企業の必須のスキルとなりつつあります。

マーケティングオートメーション(MA)に関連する用語

独自の用語が多いのもMAの特徴です。リード獲得、育成、管理、分析・設計の各段階に分けてこれら用語を紹介します。

1.リード獲得フェーズ

リード:

サービスの見込み客の情報を総称したもの。「引き合い」「反響」などと呼ばれる場合もある。一般的には、氏名や連絡先、所属組織の情報がセットになっていることが多い。リードに見込み度合いやWeb上での行動などの情報が付加されることで、MQLやSQL、プロスペクトなどに派生し、商談などに活用できるようになる。

リードジェネレーション:

ターゲットをWebサイトに集客し、コンテンツによりニーズを創出して見込み客の情報を獲得すること。ここで得た情報にインサイドセールスしたり、リードナーチャリングの対象に切り分けて活用される。

アンノウンマーケティング:

メールアドレスなど個人情報や属性情報がわからない匿名状態のユーザーを対象にWebサイト内での行動や来訪経路などを可視化、それらに基づいたアプローチによりリード化するマーケティング手法。この段階の訪問者をMAツールによっては「ビジター」と呼ぶ場合もある。

コンテンツマーケティング:

訪問するユーザーの課題を解決できる有益なコンテンツを発信することでWebサイトに集客し、資料ダウンロードや問い合わせなどの行動へとつなげるマーケティング手法。MAにおいては訪問ユーザーの興味や関心を把握したりスコアリングの材料としても活用される。

リードクオリフィケーション:

見込み顧客(リード)から購入可能性の高いリードを選別すること。 これにより、すぐに営業が接触すべきか、まだナーチャリングが必要かを判断し効率的なマーケティング・セールス活動を展開できるようになる。

MQL:

Marketing Qualified Leadの略で、「マーケティング活動によって創出されたリード」を指す。Webサイトからの資料ダウンロードやお問い合わせ、展示会で獲得した名刺やセミナー参加から獲得したリードから一定の基準を満たしたものをMQLと呼ぶ。その基準は「個人情報が正しく入っていればOK」というものもあれば、特定の業種や一定以上の会社規模など各社の基準で設定される場合もある。

2.リード育成フェーズ

リードナーチャリング:

Webサイトで獲得したリードに対し、検討段階に応じたコンテンツ提供、メール配信などのコミュニケーションを行い見込み顧客に育成(= ナーチャリング)する手法。マーケティングオートメーションにおけるコア機能のひとつ。

プロスペクト:

リードの中でも、十分な情報が獲得できているリードのことを指す。技術的には個人情報とブラウザのcookieがセットで把握できており、以降のWebサイト訪問時の行動などを把握しナーチャリングやスコアリングができるようになっているリードのこと。

スコアリング:

Webサイトへの訪問頻度、閲覧ページ数、フォーム送信などの行動に配点し、リードごとに点数化(= スコアリング)する手法。スコアが高いほど見込み度合いが高くなるように配点することが重要になる。一定以上のスコアになったらインサイドセールスの対象にするという使い方が一般的で、マーケティングオートメーションの基本的な概念の一つ。

ダイナミックコンテンツ:

Webサイト訪問時の情報(流入経路や属性情報など)をもとにパーソナライズされたコンテンツを出し分ける手法。たとえば、特定コンテンツの閲覧頻度が高いユーザーに関連するセミナー紹介のコンテンツを表示するといったことができる。パーソナライズしすぎると訪問者が不安に感じてしまう場合があるので注意も必要。

Web接客:

おもにECサイトなどBtoCのサービスにおいて、MAと同じように、ユーザーのWebサイト訪問時の情報をもとにバナーやクーポン、チャット形式のメッセージなどを提示するデジタルマーケティングの手法。MAとの明確な違いはないが、ECサイトや課金型のサービスなどWebサイト上で決済まで完了するサービスにおいて使用されることが多い。

3.リード管理フェーズ

リードマネジメント:

リード獲得(リードジェネレーション)からリード選別(リードクオリフィケーション)、リード育成(リードナーチャリング)、商談化までリードの状態を管理すること。

見込み度合いに加えて、属性情報(会社規模や決裁権など)、Web上での行動を組み合わせて段階ごとのリード数を可視化し、商談数や受注数の見通しに活用する。

ABM:

Account Based Marketingの略で、おもにBtoB企業において、自社にとって価値の高い見込み顧客を選別し、最適なマーケティング・セールス活動を行う手法。Webサイトに訪問したユーザーから生まれるリードだけでなく、自社のサービスの価値が最も活かせる業種や企業規模を設定することで、逆算して必要なコンテンツ発信や営業アプローチを行う。MAやSFAの普及に伴いABMを採用する企業も増えてきており、近年はABMに特化したSaaSサービスも登場している。

インサイドセールス:

獲得したリードに対して電話やオンライン商談システムで遠隔から営業活動を行う手法で、日本語では「内勤営業」に相当する。これに対し従来の訪問型営業をフィールドセールス(外勤営業)とも呼ぶ。

移動時間がないため効率化ができること、商談初期のリードに短時間で数多くのヒアリングができるといったメリットがあり急速に普及した。最近は働き方改革の一環として場所に縛られない勤務スタイルとして導入されるケースも増えている。

SQL:

Sales Qualified Leadの略で、「営業案件化されたリード」を指す。

MQLとなったリードに対して、商談活動を経てニーズの顕在度や導入予定時期、競合比較状況など、一定の見込み度合いが確認できたものをSQLと呼んで区別する。

商談を経なくても、Webサイト訪問時点での具体的な見積もり依頼や検討機能によってはすぐにSQL化されることもある。

4.分析・設計フェーズ

カスタマージャーニー:

製品やサービスを利用する人物像(ペルソナ)やターゲットを設定し、製品の認知から検討、競合比較、営業提案、導入決定、導入開始までの各段階における態度変容と必要なコンテンツやコミュニケーションを設計するマーケティング手法。これを図式化したものをカスタマージャーニーマップ(CJM)と呼ぶ。MAの設計段階では必ずといっていいほど登場する手法。

ファネル:

日本語で漏斗(ろうと)を意味するマーケティング用語。Webサイト訪問やイベントから集客したリードが徐々に絞り込まれながら検討段階を上げていく図が漏斗に似ていることからそう呼ばれている。MAにおいては見込み段階別に表現され、段階ごとにスコアや特定のアクションを条件として設定する使い方が多い。

パイプライン:

営業活動において、商談開始から受注までの流れを段階的に可視化、定量化することで、分析や改善を行っていくマネジメント手法。見た目はファネルに近いが、営業活動にフォーカスしていることと、マネジメント手法であること(ファネルは図の形式を指すことが多い)が異なる。

マーケティングオートメーション(MA)のメリット・デメリット

マーケティングオートメーション(MA)の特徴の1つに、「導入するだけではワークしない」があります。自社のマーケティング上の課題を明らかにし、解決するための設計が必要です。

ここでは導入検討段階の方を対象にメリット・デメリットを整理しました。まずはこれらを参考に自社の課題を整理してみましょう。

メリット

1.リードを増やせる

MAの存在意義でもあります。Webサイトやメールなどのタッチポイントを可視化し、今までサイトに訪問してくれても接点を持つことができなかったリードとの接点ができます。費用対効果を検討する上でもリードの増加は判断しやすい材料です。

2.さまざまツールが含まれており、全体としてみればリーズナブル

従来のデジタルマーケティングにおいて個別に導入していたCMS、ブログツール、フォームツール、メール配信ツール、アクセス解析ツールなどが統合されています。現在使用しているツール状況によってはMAに置き換えるだけでコストメリットが出る可能性があります。

3.営業だけではカバーできない時間軸でフォローできる

一度提案したが失注した案件や、検討が数年にわたる案件を営業メンバーだけでフォローするのは困難です。MAを使うことでこれらの見込み客を自動的にフォローしたり、新たな検討の動きがあった際に把握することができます。

デメリット

1.サービスによっては高額

月額で数万円から導入できるツールから数十万円かかるものまで幅広いラインナップがあります。現在の課題を整理し、それを解決できるツールとしてどこまで費用負担できるかをしっかり見極めましょう。MAは近年導入数が増えていることもあり、つい「他もやってるから」という理由で決めてしまいがちですが、MAで解決できる課題でなければ中断することも賢明です。

2.導入時にリソースが必要

MAの導入にあたってはマーケティングおよび技術面までカバーできる専任担当者のアサインが望ましいです。導入後も推進役となる担当者を置くべきでしょう。

また、勘違いしてしまいがちなのが「MAを導入するだけでリードが増やせる」という誤解です。MAがワークするためには、Webサイトからのコンテンツ発信やリードと接触する機会作りが必要です。これらも含めて必要リソースを検討しましょう。

3.リードを活用できる営業体制が必要

獲得したリードに対しては即時に対応できる体制が必要になります。リードに対して早く反応すればするほど電話コネクトや商談化できる確度が高まるからです。獲得リードをカバーできるインサイドセールス体制を用意できるか必ず確認しておきましょう。

代表的なマーケティングオートメーション(MA)ツール7選

無料で使えるものから高機能なものまで、国内外のマーケティングオートメーションから代表的なものを7つピックアップして紹介します。

SATORI

SATORI

上戸彩さんのCMでおなじみの国産マーケティングオートメーションツールです。

MAとして基本的な機能は網羅しつつ、リターゲティング広告連携やアンノウン(匿名)リード向けの機能が充実しており「リードジェネレーション」に強いツールです。

オンライン/オフライン問わず広告からのアクセスや展示会やイベントからの名刺リードが多い企業に向いているサービスといえます。

Pardot(パードット)

Pardot(パードット)

Pardot(パードット)はSalesforceが提供するマーケティングオートメーションツールです。もともとは他社のサービスで、2013年にExact Target社を買収した後Salesforceの製品ラインナップに加わりました。当初は英語のインターフェースでしたが、現在は日本語でも使えるようになりました。

特徴はなんといってもSalesforceとの連携のしやすさやサポートです。すでにSalesforceを大規模に導入されている企業や導入初期のサポートを重視する企業にとっては相性がいいといえます。

Marketo(マルケト)

Marketo(マルケト)

「THE MODEL」の著者としても有名な福田康隆さんが日本法人の代表を務めた米国発のマーケティングオートメーションで、2018年にアドビ社により買収されています。対応する機能が多く、オンライン・オフライン問わずさまざまな顧客接点をカバーできます。

世界のさまざまなツールと連携が可能なので、グローバルで事業を展開していて顧客接点が多岐に渡る企業に向いています。

HubSpot(ハブスポット)

Hubspot(ハブスポット)

米国ではMarketoと並び称されることも多いマーケティングオートメーションツールです。MA機能も充実していますが自社では「インバウンドマーケティングツール」と呼んでおり、見込み客にとって価値のある情報を提供しビジネスを成長させることに特化した機能群となっています。

HubSpot自身が豊富なコンテンツをマーケティングに役立てており、参考になるコンテンツが多いのも特徴です。マーケティング活動においておいてコンテンツ発信やページ作成の効率を重視している企業に向いています。

Kairos3

Kairos3

月々5,000円〜、と安価に始められる国産のマーケティングオートメーションツールです。オプション機能も充実しており、中にはSFA機能まで用意されています。単体でSFAツールを使うほどでもないという企業はこれだけでマーケティング〜営業まで対応も可能です。

Webサイトのトラフィック規模が小さく、連携が必要な機能が限定される企業に向いています。リード数やオプション機能により利用料金が変動しますので、自社のユースケースと合わせて検討しましょう。

BowNow(バウナウ)

BowNow(バウナウ)

無料で使えることが特徴の国産マーケティングオートメーションツールです。

リード数1000までは無料で使えますので、MA導入が初めての企業でも気軽に試せるのがメリットです。有料利用の場合も他サービスに比較して低価格です。機能面でも一般的なMA機能はカバーしつつ、企業情報分析など営業フェーズでも活用できる機能を持っています。

MAを初めて使う方や、本格的な導入検討の前に試してみたい企業に向いています。

List Finder(リストファインダー)

List Finder(リストファインダー)

2010年サービス開始した、国産では老舗のマーケティングオートメーションツールです。

3万円台から利用開始でき、PVに応じて金額をコントロールできます。他のMAツールに比較すると機能は少ないですが、シンプルなラインナップなので「これで十分」という会社とは相性がいいでしょう。

Webサイトのトラフィック規模が小さく、まずはシンプルにMAの各機能を使いこなせるようになりたい企業に向いています。

まとめ

日本においても5年ほど前から導入が増えてきたマーケティングオートメーション(MA)。

当初はデジタルマーケティングに先進的な企業が中心でしたが、顧客接点の多様化が進むとともにビジネス、企業規模を問わず有効な手法となりつつあります。その反面、機能が複雑で、既存ツールとの連携、運用体制の構築、導入効果の判断、部門をまたいだ体制(特に営業との連携)など、多くのリソースが必要になるのも事実です。

とはいえ機能や価格帯ごとにさまざまなツールが生まれ自社に合ったサービス検討もしやすくなっていますので、慌てすぎず段階的に導入することをおすすめします。